日本エネルギー会議

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原発の宿命

原発の宿命と言えば、放射能と縁が切れないこと、世間から不安の対象とされ、出来ればない方が良いと見られること、巨額な設備投資でありその回収には数十年を要すること、運転の停止開始に手間がかかりベースロード電源の位置づけにならざるを得ないこと、使用済燃料燃料や放射性廃棄物が出ることなどが考えられる。

こうしたものとは別に、原発が総合的な科学技術を結集して造られているため、どうしても多くの専門分野の企業、研究者、専門技術者を必要とする宿命がある。また、建設、運転保守に関しても、多くの異なる部門、異なる企業からなる組織で運営していく必要があることも原発の宿命である。するとそこには、巨大な組織であること、ましてや契約により甲乙となる関係によるさまざまな問題が発生する。例えば、現場から本社のトップまではいくつもの階層が存在することで、この間の情報の伝達には時間がかかり、また、各組織の都合で多くの情報選択が行われる。事故やトラブルの対応が後手になり、正しい情報に基づく判断が出来ないなどの現象が繰り返される原因である。

部門の守備範囲の境界付近では、責任が曖昧であったり、どちらの部門も積極的ではなかったりする。巨大組織では、はた迷惑な内部の競争や権限争い、人材の抱え込み、ミスの隠蔽、他部門に対する非協力などが起こる。官僚的雰囲気が支配し、部門間の予算獲得競争と予算を残さないための無駄遣いなども発生し、組織全体より部門の利益を優先する。

原発が巨大組織で運営されるがゆえに、どうしても巨大組織の本来的に持っている悪弊ともいうべき問題がついてまわる。これを放置しておけば、やがて巨大組織自体が効率性、合理性を失っていき、最後には法に抵触するようなことまで行い、露見すれば世間の信用を失うことになる。

原発で一番大切な安全が組織の悪弊によって脅かされるようでは困る。原発の宿命として放射能と縁が切れないことと同じように、いろいろと問題のある巨大組織で取り組まざるを得ないことを関係者が自覚することが大切である。

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