日本エネルギー会議

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初夢

福島第一原発の事故の置き土産は、国民に原発事故の相場観を与えたことだ。特に原発立地地域の人々は、原発が万一の際は、どの程度の避難が待っているかについて具体的なイメージを持つのに十分な情報が行き渡った。事故後にも汚染水漏れによる風評被害や除染の困難さについて、十分な学習をした。これが我が国において、各地の原発再稼働の足かせになるだけでなく、核燃料サイクルにおける高速増殖炉開発、高レベル放射性廃棄物の処分地の決定などの障害になることは明らかだ。

一方で、原子力を推進している各国が、福島第一原発の事故の衝撃をなんとか克服しようとしている中で、イギリスが軽水炉の増設に向かって突き進んでいる。不思議なことにかの国では国民の目立った反発は報じられていない。さらに世界に目を向ければ、地震や津波、そして火山の噴火などの発生がほとんどなく、人口密度も桁違いに小さく、日本より原発の建設や高レベル放射性廃棄物処分に地理的に適した場所がたくさんあることがわかっている。

2020年、東京で二度目のオリンピックが開催される年、50年間地域からの一定の雇用確保を条件にイギリスの原発サイト内で、もんじゅの後継炉の高速増殖炉が着工されることなった。建設主体は日本の原子炉メーカーによるJV、5年後の完成の暁には、そこで日本が海外に保管中のプルトニウムを原料につくった燃料を燃やすことを国と電力会社からあくまでもビジネスとして受注している。これで海外保管中のプルトニウムを日本に海上輸送する必要はなくなった。作った電力はヨーロッパの電力網で販売される。今後、日本の原発から発生した使用済燃料のうち、六ヶ所の再処理工場で処理しきれない分は海上輸送で数十年の安全運航の実績がある企業が請け負ってイギリスに送られるが、不安要素として核テロの可能性拡大の問題があり、各国によるリレー式の護衛体制を取るなど慎重に対策の強化が検討されている。 

福島第一原発の事故後から、本格的になった日本メーカーと電力会社、国が一体となった原発の途上国への売り込みは、首相夫人の意見も取り入れて、メンテナンスも含んだフルサービス契約としたことが決定打となり、次々と商談が成立している。こなかには使用済燃料の一時的保管、再処理、そして高レベル放射性廃棄物の処分までも含んだものもあり、日本の保管しているガラス固化体もビジネスとして途上国が引き受けることにより、途上国が莫大な原発建設投資の負担を軽減出来る方式も提案されている。

上記二件はともに、日本国内で計画を実施した場合に必要とされる費用と時間とを比較した場合、明らかに海外で行うことが合理的かつ経済的であるとの結論が得られたことによりから導き出されたものだ。

かつて途上国に燃料を供給し、使用済燃料燃料の処理を引き受けるという提案がアメリカなどからあったと記憶しているが、アメリカやロシアの政治的思惑ではなく、福島第一原発の事故を経験し、トイレなきマンションの解消と安定したエネルギー確保を最も切実に必要とする日本の原子力産業界が、ワールドビジネスとして打ち出すべきではないか…。

イギリスにおける高速炉の建設はメーカーが直接行ったために、もんじゅのように国の機関が発注者となり、その下に電力会社が管理者として入り、実際にはメーカーが実施するという、ほとんど意味のない複雑なやり方をしなくてもよいので、ムダがなく、建設は極めて順調に進みそうだ。

ガラス固化体を積んだ輸送船が途上国の港に着くと、岸壁には危険な核ゴミを途上国に押し付けるとは何事かと、日本から行った反対派が猛烈な抗議活動を展開して待ち受けている。彼らは自分で出したゴミはあくまで自分のところで片付けなくてはいけないという従来型の倫理観で固まっている。だが、その考えはグローバル化した世界経済では通用しない。これはあくまでも世界最適化ビジネスなのだ…
というところで目が醒めた。

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