日本エネルギー会議

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不問に付す

ようやく猪瀬東京都知事が辞任を表明。都議会が設置を決めた百条委員会は幻の委員会となった。知事でなくなったので検察は捜査がやりやすくなったとの話もあるが、これで真実の解明は遠のきそうだ。政治家の場合、辞任すれば次の知事は誰かにメディアの関心が移り、真相は闇に消えてしまう。贈収賄や選挙違反事件などでは、政治生命を絶たれるだけでなく、本人や秘書が自殺するという悲劇もたまにある。その場合も、責任については以後一切不問に付すというのが我が国のやり方だ。

世界を驚かせ、国民に衝撃を与え、いまだに跡をひきずっている福島第一原発の事故に関しては、総理大臣や関係閣僚は辞任、政権政党も交代し、東京電力の経営陣もほとんどが辞任した。検察は管元首相や東電幹部を不起訴としたが、福島県の地方自治体の首長の多くが選挙で落選し、新しい顔ぶれになっている。

事故調の報告を受けた国会も、その後すっかり音沙汰がなくなっている。現場の放射線レベルが高く近づけないため、ハード面の検証が出来ないこと、その後の汚染水問題などの対応に追われたこと、除染と避難者の救済に目処をつけねばならないことなどの事情があるにせよ、このままでは済ませられない。泉田新潟県知事の「原因解明も出来ていないのに再稼働はありえない」との発言は、福島県では当然のことと受け止められている。原子力規制委員会は当初、組織の体質問題まで突っ込むと言っていたが、今は再稼働対応に追われている。

除染や復興に関しては、安倍政権が与党の露払いで建前を言うのをやめ、ようやく現実的な政策に乗り出した。福島の廃炉についても国の支援を打ち出した。だが、事故から三年、国会と安倍政権は事故そのものとその対応の失敗に対しては、背景も含め納得のいく原因究明が行われていないのは民主党政権時代と同じだ。メディアも除染や避難者のケア、それに再稼働には熱心だが、根本問題を取り上げる回数は減っている。

国を挙げて背景となったものも含め、原因究明を急ぎ、その結果をオーソライズして国として国民や世界に公表するべきである。発送電一貫の9電力体制、多層構造の請負体制、三法交付金制度、核燃料サイクル路線、原発輸出に対する国や電力会社の全面支援など、いままでの原子力推進を支えてきた仕組みは、与党の力でほとんどがそのまま温存されようとしている。

日本はいつもの如く、福島第一原発の事故の原因追求をあいまいなままにし、それなのに福島第一原発5、6号機の廃炉をあっさり決定した。世界は日本で過酷事故が起きたことに驚いたが、その後のやり方についても再び驚いているに違いない。

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