日本エネルギー会議

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影響を受ける組織

政党、官庁、電力会社、メーカー、ゼネコン、研究機関、下請など関係する企業、商社、金融機関、自治体も含め、日本には原子力に関連する組織が数多く存在し、それらが連携を取り合って開発を進めてきた。本来、業界や企業は、それぞれのしきたり、社風、仕事のやり方に個性を持っている。しかし、業務を行うと他の組織との接点が生ずる。それは、立法、予算獲得、許認可、検査、受発注、監理監督などだ。業務に当たる職員は他の組織と個人的接点が多くなるのは当然の成り行きだ。

個人が組織に貢献するためには、こうした接点を活かして少しでも自分が所属している組織に利益をもたらすことに腐心する。そのため、相手の担当者の心象を少しでもよくしようと、相手の組織の研究に暇がない。どのようなことをすれば、相手が喜ぶか、逆にどのようなことが相手にとって困ることなのか。毎日相手の組織を観察しながら対応をすることによって、それがわかるようになる。その結果、相手の発想の仕方、内部の判断基準、権限の所在、言葉遣い、身のこなしまでを学ぶことになり、相手の組織の一員と言っても差し支えないほどになる。

接触を繰り返していく間に、相手との貸し借りも発生する。機会があれば、相手に出来るだけ貸しを作ろうとする。この貸し借りは組織的な場合もあるが、個人的な場合もある。こうして相手の組織に深く食い込んだ担当者は、組織にとって有力な武器となり、担当者の固定化が始まる。そのような担当者は企業の役に立つだけでなく、相手企業にとっても何でも頼める便利な存在になるため、担当者を交代させないよう働きかけることもある。担当者の希望によって相手の組織から交代させないように言ってもらうという、高等戦術を使う輩もいる。

密着がそのレベルに達すると、過剰適応の弊害が出てくる。担当者が相手の担当者に漏らしてはいけない情報を流したり、接待以外にもさまざまな便宜をはかったりするようになる。組織内で「このような返事や対応では、相手を怒らせるからやるべきではない」などと虎の威を借るような発言もしたりするようになる。そうなると、組織内では「あの担当者はまるで相手の組織の一員のような発言をする。回し者ではないか。何か利益を得ているのではないか。ミイラ取りがミイラとはこのことだ」という反発や批判が出るようになる。

原子力に限らず、さまざまな業界でこのようなことが行われていると思われるが、原子力共同体では早くからその基盤が作られていた。その理由は、原子力の特殊性、参入障壁の高さに伴う発注先の固定化が著しいことがあると思われる。組織間の影響は、水が流れるごとく、上流から下流に及んでいく。権限や影響の強い官庁、自治体が電力会社に影響を与え、電力会社からメーカー、下請へと及んでいく。上流にある組織の良い面も悪い面も下流への影響となるが、それは結果的に一種の統制となる。特に下流の過剰適応が起こす批判の封じ込め、闇の貸し借り、無理難題の受入あるいはさらに下流への押し付けなどは、原子力開発の安全面や合理性の実現に障害となっていくことに十分に注意をしなくてはいけない。

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