日本エネルギー会議

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個人線量計は実際的か

この度、原子力規制委員会は、航空測量で測った放射線量を基に1日8時間屋外にいると想定して住民の被ばく量を推定してきた方法を転換して、ひとりひとりに個人線量計をつけてもらい実際にどの程度被爆したかを把握する方法に切り替える案をまとめた。私は以前から「測って測って測りまくれ」と実測することを主張してきたが、やっとその方向になりそうだ。今までの過大な評価から開放され、帰還出来る可能性が出てきたのは喜ばしいと思う一方、そのための条件が整うかどうかに疑問を持っている。

というのも、一昨年実施した住民が避難当初にどの程度の被ばくをしたかを推定評価するためのアンケート調査の回収率が半分にも満たないからだ。この調査と評価を県立医大に丸投げした国も、投げられた医大も回収率向上にさじを投げている。さらに、県民健康調査も一回は集団検診のようなことをしたが、その後は近くの病院でいつでも無料でできますということにし、その結果は発表されていない。私の周りでは、これを受けに行ったという話はほとんど聞かない。

さらに問題なのは、帰還困難区域に立ち入る際、以前は線量計着用をゲートなどでかなり厳しくチェックしていたが、現在は立ち入り許可証しかチェックされず、公益の立ち入りでは事業者まかせになっており、どの程度被ばくがあったのか役所は管理していない。また被ばく量に対してどの程度の時間で被ばくしたかは重要な事項であるにもかかわらず、一時立ち入りでは当初から一貫して作業時間の記録を取っていない。

今後、原子力規制委員会案のように個人線量計で測定するとして、線量計の配備は出来ると思うが、それで確実に測定しているかをチェックするのは、誰がどのようにやるつもりなのか。それを本人の自主管理だとすれば、一部の人を除いてほとんど実施されないであろうことは十分に予想出来る。

線量を管理し、それを報告することをどのように義務化するのか。原発のようにチェックポイントがあってそこを退出する時に、線量を申告しなければあるいは自動的に計測しなければ退出出来ないようになっていればよいが、居住してしまえばそんなことは出来ない。着替えるたびに線量計を付け替えるなどということが行われるとは思われないのだ。

住民は年間1ミリシーベルトにこだわり続けているが、自分で線量を管理せよと言われれば、今度はなぜそんな煩雑なことをしなければならないのかと反発するだろう。人々は年間1ミリシーベルトまで除染することは難しいこと、それまでしなくても実質的に問題はないことをうすうす知っているが、いままでの行きがかり上、文句を言っているまでのことだ。本当に心配しているのであれば、個人線量計による測定は完璧に行われると思うが、そうではないので線量は記録されず、ほとんど形式的なものとなるおそれがある。

家の軒先に線量計をぶら下げておいて、電力メーターの検針のように誰かが定期的に読み取り記録に巡回するようなやり方の方が実際的だと思うがどうだろう。

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