日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

福島の住宅建設ブーム

郡山市にある住宅設備のショールームでは、全国にある同じショールームの中で、今年最も多くの入場者数を記録した。休日に行ってみるとユニットバスやシステムキッチンなどの品定めに訪れた家族連れで終日賑わっており、係が対応に追われていた。有力ハウスメーカーの集まった住宅展示場は郡山市内にいくつもあり、ここも人気を集めている。

一昨年の東日本大震災から東北地方の住宅建設ブームが始まったが、ここにきて福島県の住宅着工は特別な盛り上がりを見せている。これは東京電力の土地、家屋に対する賠償が本格化したことと関係がありそうだ。また、避難している側としても、当分帰還出来ないとは思っていたが、二年半経っても先が見えないため、いよいよ仮設住宅や借り上げ住宅を出て、避難先などに本格的に家を求める動きが出ているのだ。これに震災による被害で建て替え、補修の需要が加わっている。

下の図は各年度の月別着工個数の推移を表しているが、今年五月辺りから急激な増加に転じていることがわかる。

福島県の月別着工戸数の推移

福島県新設住宅着工戸数(地域別)

このグラフを見ると、全体を押し上げているのがいわき市であることがわかるが、最近では、いわき市が飽和状態となって適当な土地がなくなったため、県中の郡山市、県北の福島市などに住宅着工が波及しているものとみられる。

関係者の話では、消費税率上昇前の駆け込み需要も重なって、ハウスメーカーの場合、今契約しても着工は来春以降という話だ。福島第一原発の事故で避難し、賠償金で家を建てようとする人の特徴は、土地、家ともに広さを求め、値段を気にせずにハイグレードを要求することで、このため従来から中通りに住んできた人たちは、単価値上がりの影響を受けている。

材料は入荷するものの、大工などの職人が集まらず、中小の工務店は仕事がこれ以上の受注が出来ない状況だ。浜通りから避難してきた職人たちはほとんどがいわき市や郡山市など避難先で仕事にありついている。最近では首都圏の建設ラッシュが影響し、いままで福島など被災地に全国から集まっていた職人が、より有利な条件で首都圏に引き抜かれている。

郡山市や須賀川市を歩いていると、そこここに建築中の家が目立つ。完成した家の窓枠は、今流行りのシャンパングレー色なのですぐにわかる。バブル後の大ピンチを経験している建設業界では、今回は慎重に受注量を決めているので、売り手市場となっており、ますます価格上昇傾向が強くなっている。本来、原発周辺の市町村に落ちるはずの住宅再建特需が、いわき市、南相馬市、そして中通りの福島市、郡山市に落ちているのは、浜通りの復興のためには残念なことである。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康