日本エネルギー会議

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原発は誰のものか

安倍首相は福島第一原発を訪問後、東京電力に対して5号機、6号機の廃炉を要請した。東京電力の広瀬社長は年内に判断すると回答。民主党政権時代の浜岡原発緊急停止の場合もそうだが、私企業の所有する原発について、いくら首相だからといって廃炉せよと言うのはおかしくないか。電力会社も反発しないのは不自然だ。福島第一原発5号機、6号機が、今直ちに危険というのならわかるが、冷温停止状態で差し迫った危険もなさそうだ。

政府と東京電力の間で事前に話し合いが行われたのだろう。そうでなければ、広瀬社長は「突然のことで、返答しかねる」といつもの冷静な対応をしたはずだ。税金注入で東京電力は実質国のもの。安倍首相が、東京電力の判断を促すという形をとったのは、東京電力を破綻させることが出来るという国の立場を使ったのかもしれない。

東京電力は、内外の多くの株主の出資による株式会社であるから、大きな経営方針については株主の意向も尊重しなくてはならない。株主総会では例年、脱原発の提案が金融機関などの大株主によって否決されてきた。脱原発株主からすれば、何故、安倍首相の要請に対して、社長は前向きの対応をするのかと疑問を持ったはずだ。

東京電力を支えているのは、電力供給範囲である関東地方の企業、家庭などの需要家でもある。福島第一原発の全基廃炉で電気料金がさらに上がる可能性も大きい。実質的に地域独占である以上、需要家が東京電力以外から電気を買う選択はほとんどない。需要家に対する説明はいったいどのような形でされるのだろうか。

株式会社では、株主、需要家とともに社員もステークホールダーだ。福島第一原発で働いている社員だけでなく、東京電力の全社員、子会社の社員に全基廃炉は大きな影響を与える。労働組合はどんな見解を持っているのか今のところ不明だ。

さらに、原発が立地している地元のこともある。福島県議会も周辺4町村も第一原発、第二原発の全基廃炉を決議している。第一原発の廃炉は当然と言うだろうが、政府や東京電力は、これで第二原発は救おうという作戦なのではないかと疑心暗鬼だ。地元だけではない。多くの国民が福島第一原発の今後に大きな関心を寄せている。広瀬社長は年末までに、これらの関係者に対する説明と調整をする必要がある。

資本家、需要家、社員、地元など。いずれにしても、原発はいったい誰のものなのかという問題に突き当たる。民主、自主、公開の三原則のもとに、進められてきたとされる原子力開発だが、大きな決定をする際には、この三原則に照らして根本から考えていく必要がある。

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