日本エネルギー会議

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夢のある仕事

先日はイプシロンの発射があり、新聞には「感動を乗せ宇宙へ」との見出しが踊った。これと対照的なのが、福島第一原発の問題。廃炉について、かつてスリーマイル島事故の収束に当たったアメリカの関係者から「福島はスリーマイルに比べてより複雑」とのコメントが出るなど、先行きが見えないままだ。子供たちもイプシロンロケットに対しては「かっこいい」と言うが、原発の廃炉について関心は少なく、親も子供たちに積極的に説明をしようとはしない。

廃炉工事は30年、40年かかり、今年入社した者が定年を迎えるまで、まさに職業人生を掛けた仕事になる。日本にとってロケット開発も大切だが、現実的には福島第一原発の事故収束と廃炉を着実に進めることが国際的にも求められている。国が「東電任せにしない」のは資金的な問題だけでなく、それに必要な人材を集めることも含まれなくてはならない。

事故を起こした東電は全社を挙げて対応することは当然だが、廃炉工事を維持するには、若い人たちの力を必要とする。また、これに協力するメーカーなども同じことだ。福島第一原発の事故以来、原子力を目指す高校生、大学生は少なくなっている。

建設の世界では、「花の建設・涙の保全」はよく知られた言葉だが、原子力開発においてもその傾向が強く、維持管理、廃棄物の処理処分は建設に比べ目立たない存在だった。廃炉ともなれば、さらに地味な仕事と思われていた。だが、日本にとって、福島第一原発の廃炉はやらねばならないことであり、汚染水問題の解決はまったなしだ。我々は、この仕事に従事する人の処遇を確保するだけでなく、その使命の崇高なことを、これから社会に出ようとする学生に十分に伝える努力をしなくてはならない。福島の子供たちが、郷土を護るために、原子力の世界に入って、「夢のある仕事」として廃炉作業に携わることを、目指すようになるのは何時のことなのだろうか。

学生の進路選択については、母親の影響が大きい。その母親たちは福島第一原発の事故後、放射線に関して極めてナーバスであり、子供に原子力の道に進めとは言わないだろう。一方、自然保護や環境問題に対して関心が高いのも母親や若い世代であり、彼らに対して廃炉や廃棄物の処理処分を環境問題として捉えるように導くことが必要だ。

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