日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

着目すべき記事

元原子力発電環境整備機構の河田東海夫氏が、原子力学会誌(2013年VOL55、NO5)に「米国の使用済燃料及び高レベル放射性廃棄物の管理、処分戦略」と題して書かれた解説記事に着目したい。それによれば、NRCは2012年8月に、原発新設と運転期間延長に係わる発給凍結をした。

その理由は、NRCが原発新設と運転期間延長を認める条件として、使用済燃料の適正管理保証を求めており、その根拠として廃棄物信頼性判定書を使っていたが、裁判所がヤッカマウンテン計画破棄となった今、貯蔵が長期化することで判定書がその状況にふさわしくないという判決を出したからだという。

日本でも原子力規制委員会がサイトにある使用済燃料の管理について、神経質になりはじめたが、アメリカでは使用済燃料の管理がしっかり出来なければ、原発の建設や運転そのものを認めないというところまで行ってしまった。ヤツコ元NRC委員長などによってヤッカマウンテン計画が破棄され、アメリカでは、再び中間貯蔵施設や処分場の候補地探しが始まったようだが、私はそのことより、原発新設と運転期間延長に係わる発給凍結の方に着目したい。

再処理路線を取らないアメリカでは、発給凍結は日本で言うところの「トイレなきマンション」ではいけないということをNRCが表明したことになる。日本では長い間、使用済燃料は再処理することで有効利用し、また廃棄物も減らせるとしていたため、いきなり使用済燃料の貯蔵施設や処理施設の問題を論じることはなく、再処理の話にしても開発中であり、再処理工場が完成すれば、使用済燃料の一部は消費するということで説明されてきた。現実には再処理工場の完成が遅れているため、六カ所村のプールは満杯に近づき、各電力会社は構内の乾式仮置き施設や中間貯蔵施設を建設したり、計画を急ぐ状態になっている。

日本では、国も電力会社も原発導入以来ずっと、使用済燃料や処理後の廃棄物の処分問題を先送りし、NUMO設立後も高レベル放射性廃棄物処分場の候補地探しに、これといった成果が上がっていない。再処理工場が近く稼働したとしても、第二再処理工場がなければ、現在の原発からの使用済燃料だけでもどんどん溜まって行く。まさに、福島第一原発の汚染水タンクのように、貯蔵が間に合わなくなり後手後手になる可能性が大である。

原子力規制委員会は再稼働を求める各電力会社に対して、現存の使用済燃料とこれから発生する使用済燃料を、どのように管理していくかについて、中長期的な計画を求める可能性がある。さらに原発の新設や運転期間の延長ということになれば、NRCのように、使用済燃料の中間貯蔵施設や処分場の確保を条件とすることも考えられる。国や電力会社は、原発を存続させるため、過去50年にわたって先送りしてきたツケをいっきに精算しなければならない時代を迎えている。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康