日本エネルギー会議

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関係団体の役割

 関係団体の役割とは何か。原子力業界にも多くの関係団体が存在する。研究開発をするところ、調査や広報活動をするところ、内部牽制をするところなど、その役割は団体の数だけあると言ってもよいほど多岐にわたっているが、共通するのは業界の維持発展に役立つということ。一企業では出来ないことや、企業より少しだけ外側にいるため社会との関係が構築しやすいなどの利点がある。今回の福島第一原発の事故で原子力業界は大打撃を蒙り、その意味では関係団体は役割が十分に果たせなかったことになる。
 役割を果たせなかった理由は、その陣容や活動費不足もあったが、最も問題だったのは業界の利益を守るための代弁者のごとき存在に徹し、会員企業に対してあるいは別の団体に対して、はっきりと物を言えないことだったのではないか。安全面では数年前に日本原子力技術協会が発足し、その初代トップが「自警団」なる理想を掲げたが、それが実現する前に事故が起き、事故後、原子力安全推進協会として再出発した。
 業界内の切磋琢磨、内部牽制を自主的に行うためには、自らのスポンサーである会員企業に対してあえて厳しくなければ役に立たない。だが、実際にはこれがなかなか出来ない。良薬は口に苦いからだ。日本の場合は、関係団体トップこそ他の業界の重鎮や学者を招くが、常勤役員や幹部は会員企業の役員経験者などが退職後直ぐに就くことが多い。幹部に占める団体プロパー職員出身者の割合も極めて小さい。日本原子力産業会議は、かつて会員企業出身ではない人が長年にわたって常勤役員の中心的存在であり、プロパー職員の層も厚かったが、これは極めて希な例である。
 会員企業から直接関係団体に来て、役員や幹部になった場合、業界を客観的に観て、必要なことをやろうとすることはなかなか難しい。アメリカでは会員企業以外から、団体運営のプロや学者、コンサルタントなどの経験者が、団体の常勤役員や幹部に就くことがある。会員は評議委員会などの構成員となり、常勤の役員や幹部がしっかり団体の役に立つ仕事をしたかをチェックする仕組みになっていて、そこにはある意味の緊張感がある。日本では関係団体の役員や幹部は企業にとって身内であり、各企業の先輩たちであり、いわば持ち合い大株主ばかりの株主総会のようなものだ。関係団体側もスポンサーであり、人的供給源でもある会員企業に気を使いすぎる傾向がある。
 関係団体が内外の信頼を得るには、業界最大手企業の後ろ盾によるのではなく、団体自身が独自に力をつけて、会員企業に対して有益な提言をしたり、実質的な問題解決策を実施したりすることが必要である。また、対外的には信頼関係が構築されなければ活動は評価してもらえない。そのためには、関係団体といえども必死の努力が欠かせない。会員企業にとって関係団体への多額の会費や人的協力はとかく頭の痛い問題であるが、真に業界の役に立つような働きをしてもらえるならば、喜んで協力するだろう。

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