日本エネルギー会議

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50年目の危機

 大飯以外の原発が停止してから二年以上が経過した。過去に不祥事で全国の原発が長期停止したことがあるが、かくも長き原子力の不在は今までに例がない。業界では、財務体質の悪化、立地自治体の財政難、関連下請け企業の原発離れ、現場の士気の維持、廃炉費用の顕在化、今後の人材不足が心配されている。防災体制の確立、バックエンド問題についてより厳しく解決策を求められ、それを運転再開の条件にされると非常に苦しくなる。
 経済的に考えれば、原子力産業にとってライバルが競争力つけることが最大の問題だ。多岐にわたる安全対策の実施や、運転しないまま長期間プラントを維持することで原発の発電コストが増加する。アメリカでもその問題は起きているが、日本の場合は比較にならないほど影響が大きい。東京電力以外の電力会社は福島第一原発の廃炉や賠償に対する資金的協力もしなくてはならない。今後の電気料金値上げなしには、原発の維持は出来ないと電事連会長も表明している。
 レアアースが値上がりすれば代替品開発が進むように、原発が使えずに電気代が上がれば、いままでペイしなかった電源も選択肢として浮上してくる。原発の長期停止はライバル電源に塩を贈ることになる。東京電力が最近、石炭火力の増強に踏み切ったとのニュースがあった。火力発電所建設に伴う環境アセスなどの期間短縮を要望する声も高まりつつある。安い天然ガスを求める動きも活発だ。地熱発電もようやく動き出しそうだし、ソーラーは補助金なしでも拡大し始めるだろう。
 「原子力50年目の危機」は、私が事故の数年前に業界誌に書いた記事のタイトルだが、それが形を変えて、今一番の問題となっている。地域独占、総括原価方式、ベース電源とすることで、原発の低稼働によるコスト増をなんとかカバーしてきたが、今後は原発そのものがしっかりしないと、電力会社の経営としては電源として選択しにくくなる。エネルギーセキュリティー上、当面の間、日本が原発依存を続ける必要があるとの結論になれば、国が直接運営するか表立って電力会社に財政的支援をする以外に方法はない。

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