日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

もうひとつのチェックリスト

 原発の再稼働の判断基準になる「新規制基準」について、原子力規制委員会は10日の会合で原案をまとめた。新基準案では、原発ごとに想定できる最大の津波に対応出来る防潮堤の設置、活断層を判断するための地層調査の対象期間を必要な場合は約40万年前までに厳格化、過酷事故対策ではフィルターつきベント装置の設置、テロ攻撃などに備えた第2制御室の設置など福島第一原発の事故を反映し世界最高水準であるとしている。新基準は1カ月間のパブリックコメントを経て、7月中に施行される予定だ。規制基準は再稼働を許すかどうかのチェックリストとも言えるが、新たな知見や実際に適応してみた場合の不都合などによって絶えず見直しが行なわれる必要がある。それがタイムリーに行われず、欧米に遅れをとったことを忘れてはならない。
 そこで、「チェックリストはこれだけか」という疑問が湧いてくる。この新基準を運用するのは原子力規制庁であり、対策を実施したり基準どおりに維持したりするのは電力会社だ。福島第一原発の事故の背景は、規制当局の無責任なサボタージュと東京電力の原子炉設置者としてあるまじき組織体質と安全感覚であったはず。こうしたことにならぬよう、関係する組織に対してもチェックリストを作ってこれで適宜点検をしなければ、どんな立派な基準も骨抜きにされる恐れがある。
 そのチェックリストの項目は、次のようなものであろう。
□電力会社の役員会が原子力部門をきちんと制御出来る力を持っているか。
□規制当局の独立性が高く維持されているか。
□経済的に守られすぎて社員が保守的になっていないか。
□過度の外注体制を採っていないか。
□競争原理が働くなど、組織内外との緊張関係が維持されているか。
□事故訓練が形式的になっていないか。毎回より困難な想定に挑戦しているか。
□内部のチェック機関がお飾りになっていないか。
□安全に対する熱意と実績が幹部登用の要件になっているか。
□専門能力を磨くための教育制度が整備されているか。
□情報収集、情報共有、情報公開についての原則が確立しているか。
□関係先を退職者の受け皿にするなどの関係を作っていないか。

もうひとつのチェックリストを誰が作成し、誰がチェックをしていくのか。
会計検査院や公正取引委員会のような機関を、第二原子力規制委員会として設置し、国会に毎年報告していくのもひとつの方策だ。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康