日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

原発事故の減災

 福島第一原発の事故の総被害額はいまだ算定されていないが、日本はもちろん、世界的に見ても被害額としてトップクラスの災害であることは間違いない。
 事故収束に掛かった費用、30年は掛かるとされる廃炉工事費、放射性廃棄物の処理処分費用、増加した火力発電燃料費、各地の除染費用、住民や企業に対する賠償、風評被害に対する賠償、自治体が住民避難などで肩代わりした費用。いずれも兆の単位であり、今後どの程度の額に達するかは不明だ。
 原子力規制委員会は二度とこのような事故を起こさないよう、新基準の策定にかかっているが、この際、もう一つ必要なことは、万一事故が発生したときの被害額が今回のような天文学的数字にならないよう減災を考えることだろう。 
 自民党と公明党は、国土に関して将来の大地震などに備えて大規模な公共事業を実施していくことを盛り込んだ国土強靭化法案について大筋で合意し、今の国会に提出する。東日本大震災については復興計画とともにこのような減災計画が考えられ予算化されようとしている。
 今回、福島第一原発の事故の被害額が莫大になったのは、自然災害に伴って起きる原発事故に対する備えが不足していこと、国民に放射線などに関するリテラシーがほとんどなかったこと、国や東京電力の情報開示や国の規制基準やその示し方に問題があったこと、政治家のスタンドプレーと官僚が自分たちのリスクを回避するためにコストパーフォーマンスを無視して税金を投入に走ったことなどである。
 国土強靭計画は土建国家の再来とか、自民党の土建業界のためのバラマキだとか批判されるように、ハードの対策が強調されているが、原発事故の被害を見る限り、規制や基準などソフトの部分によって被害額を大幅に減少させることが出来るはずだ。
 今回、何故被害額が大きくなってしまったのかの調査や研究はあまり行われていないようだが、一昨年の3月の事故発生時に遡って、逐次検証する必要がある。原発事故の減災はそこからスタートしなくてはならない。福島第一原発の事故では、汚染水の管理のトラブルなど、減災どころか益々被害額を増大させるようなことが起きている。電力消費者や納税者のために、関係者はしっかり目の前の減災に取り組んでもらわねばならない。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康