日本エネルギー会議

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爆弾を抱えた金融業界

 福島第一原発の事故以来、大飯原発を除いて原発が停止したままだ。稼働していれば、1日で1基1億円の売上があると言われる原発が、二年間も停止したのだから電力会社の台所は火の車だ。福島第一原発の事故の補償に当てるための資金を出資しているのも電力会社にとって辛い仕組みだ。
独占企業であるため、電気料金の値上げで凌ぐことが可能だが、需要家や消費者の抵抗は大きい。役員報酬や社員の給与カットに所有不動産の売却などをしても、燃料代増加や原発維持費用の規模とは比較にならず、焼け石に水だ。最近ではウランの採掘権を売る会社も現われたが、こうした策もその場しのぎにしかならない。
 電力各社は今までに、再処理工場建設や再処理に充てる費用として、約1兆1千億円の前払い金を日本原燃に支払っている。電力会社の財政ピンチの影響を最も受けているのは、メンテナンス関係の工事会社で、原子力からの撤退や合併などが起きつつある。
 あまり話題に登らないが、より深刻なのは金融業界への影響だ。景気に左右されず、長期間高配当を続ける電力株や社債は銀行、保険会社にとって長い間大切な投資先であったが、福島第一原発の事故以来の株価の急落で大きな評価損を出しており、無配当化は株所有の意味を失わせている。また倒産の危険性がなく日銭が入ってくる電力会社への長期短期の貸付は銀行に取って安全性の高い貸付先として重要な地位を占めていたが、今や高リスクの貸付と化した。損害保険会社は原子力損害賠償保険の引き受けリスクに頭が痛い。
 電力会社は六ケ所村の日本原燃が銀行から借りている資金の保証を一定の比率で引き受けている。再処理がこのままうまく行かなければ、いずれ電力会社はこの債務保証の実行を迫られる。三基の原発の運転再開の目処がたたない日本原子力発電も電力会社にとって、受電を伴わない基本料金の支払いと債務保証で同じく危険な状態だ。最近、日本原電の資金ショートを防ぐために、同社が日本原燃に支払済の約400億円を返還するというウルトラCも行なっている。
 電力会社が債務超過に陥れば、日本の金融業界はパニックになる。いまや電力会社は、上海バンスキングのごとく、桁外れの借金の強みで金融業界を悩ませている。原発が再稼働せず、福島第一原発の事故収束や賠償でさらに電力会社の財務内容が悪化すれば、金融業界が悲鳴を上げ、電力料金がさらなる値上げを出来なければ、最後は政府が税金を投入せざるを得なくなる。

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