日本エネルギー会議

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和のこころ

 「里山の風景に心を奪われる」と国会で発言したのは、「美しい日本」を提唱する安倍総理だが、日本は近年大きな自然災害に見舞われ続けている。自然に溶け込んだ生活を理想とする日本人だが、一昨年は大津波が東北地方を襲い、科学技術の粋である原発がメルトダウンした。日本人の自然観はそう簡単には変わりそうもないが、科学技術への無邪気とも言える信頼は打ち砕かた。
 岩波書店に「宗教と科学的真理」という本がある。東京工業大学教授であった核化学者の垣花秀武氏の著作だが、カトリック信者であった氏はキリスト教会が、聖書に書かれていることが正しいことを証明しようと努力した結果、科学が発達し、ついには聖書に書かれていることが真実ではないことを証明してしまうという内容である。私は敦賀事務所勤務時代に、退官して福井県若狭湾エネルギー研究所理事長をしておられたご本人から本を勧められ読んだことがある。
 キリスト教は、容赦ない自然の脅威に対抗して、緊張感を持ってそれを克服して行く砂漠の生活から生まれてきた。キリスト教にルーツを持つ科学技術は、自然に溶け込もうとする和のこころとは異質のものであることをわかっている必要がある。科学技術は人間の「あいまいさ」や「甘え」に対して容赦ない結果を出してくる。「過剰な潔癖症」もその一つだ。我々の生活に大きな恩恵をもたらす科学技術ではあるが、それを利用する際には、砂漠の自然に対するように、緊張感を持っていかねばならない。
 虫の音を雑音と感じる欧米人にはこの緊張感が生まれながらに備わっているようにも思える。日本人が無謀な戦争をして大敗北したり、レベル7の福島第一原発事故を起こしたりしたのは、科学技術を器用に使えても、科学に対する姿勢に甘さがあるためではないか。

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