日本エネルギー会議

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納品書

 まだ血気盛んな現役の頃の話である。当時、敦賀2号機の建設に従事していた私は、現場の労働安全を担当していたので、敦賀労働基準監督署に出入りしていた。当時署長をされていたA氏は、基準局が敦賀2号機建設を意識して配置したと思われるベテラン監督官であった。地元の業者は、署長を怖がっていたが、一方では一目置いていた。何回か接するうちに、いろいろな話を聞くことが出来て、会社の仕事では得られないものを教えていただいた。
 大きな事故を起こすと監督署は業務停止命令を出す。これを出されるのが業者とって一番辛い。署長が墜落事故を起こした業者を呼び事情聴取をした際に、業者が対策書を出すのでなんとか停止命令だけは勘弁して欲しいと懇願した。
署長は対策書を何回も突き返したそうだが、業者はそれでもあきらめず、最後に「私もいろいろ考えましたが、言葉だけではご納得いただけないことがわかりました。そこで先日必要な足場材を購入しましたので、その納品書を出すということにします」と言って納品書を持ってきたので業務停止命令は出さずに是正勧告にしたそうだ。
 福島第一原発の事故前を省みると、安全議論はあれこれやって紙の報告書は積み上げたが、納品書はあまり見たことがなかった。

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