日本エネルギー会議

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反省の言葉

安倍晋三首相は2月28日の衆参両院本会議で施政方針演説を行った。エネルギー政策では、「エネルギーの安定供給とエネルギーコストの低減に向けて、責任ある政策を構築する。東京電力福島第一原発の事故の反省を踏まえ、原子力規制委員会の下で妥協することなく、安全性を高める」と述べた。そのあとの委員会でも、「安全を確認出来た原発は再稼働させる」と明言した。
野党からは、福島第一原発の事故を引き起こしたのは、原子力村と一体となって原発推進に突き進んできた自民党ではないかとの批判の声もあがったが、演説を聞く限りでは「反省を踏まえ」と他人事にも聞こえる表現だ。何事によらず、新たな政策は過去の反省をしっかりとした中から生まれてくるはず。いったい今までの原子力政策の何が悪かったのか、そのような政策を直さずに来てしまったのは何故だったのか。という点が客観的に分析評価されなくては、新たな政策など打ち立てようもないはずだ。これが、単に「反省という言葉」だけで済んでしまうのが日本社会の不思議なところだ。
野党もメディアもそこを突いた批判もないままに、再稼働だ、電力体制だと先走りの議論に巻き込まれて行ってしまうのが今までであり、これからもそうなりそうだ。国会事故調のフォローについても、なんとも足取りが鈍い。国会事故調が福島第一原発の事故は「メイドインジャパン型の災害」だと指摘しているのだから、この問題は避けては通れないはずなのだが。
いつまでも過去にこだわっていてはいけないのは、そのとおりだが、今のような反省の言葉だけで済ますのは、メイドインジャパンそのものだ。「戦略を立てた原点は、いうまでもなく福島第一原発の事故です。「反省に基づいた原発政策の見直しの中で、避けて通れなかったものの一つが、原子力発電から生じる使用済核燃料をどうするかという問題です。私は特にこの問題が重要だと考えています」とも語っている。
バックエンドの先送りを反省し正面から議論するというなら、民主・自主・公開を掲げた原子力平和利用が歴代政権、官僚、産業界の力で、いかにしてゆがんだ形で進めてきてしまったかについて告白してもらわねば、首相の「反省の言葉」はとうてい受け取れない。

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