日本エネルギー会議

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ご質問に答えて

 エッセイをいつも読んでくださっている方から質問をもらった。
質問は、「福島では多くの人が避難生活を続け、人口の減少も続いています。福島復興のためには少しでも早い廃炉はもちろんですが、その他にどういった政策、対策が必要でしょうか」。取り急ぎ、次のような答えを書いて送った。
  
いつも福島のことを心配していただいてありがとうざいます。
警戒区域になっていた双葉郡は、とにかく過疎化と高齢化が一気に進んでしまうことは避けられそうもありません。もとはといえば、全国の地方の町村が過疎化、高齢化していくなかで、双葉郡の中核の町は、原発のおかげでなんとか持ちこたえていたのです。子供はもちろん避難した場所で成長することになり、故郷ではなくなりそうです。親も当然付き合います。
 最近は、高齢者まで若い人が帰らないのであれば、自分たちも若い人の支援があって暮らしていたので、帰還しても生活出来ないので帰りたくないと言い出しています。高齢者がそう言うのは、買い物や病院の便利な都市部の生活を経験してしまったこともあります。働く場が出来ても、単身赴任になったり、ウィークデー赴任になったりする可能性があります。大熊町、双葉町、富岡町という双葉郡の中核が最低5年は帰還宣言をしないと決めていますから、周辺の山間部の町村も復興が進みません。
 インフラの復旧は当然として、考えられる対策はまず、工場の誘致など雇用の場の創造、買い物や病院など暮らしに必要なサービスの確保、根気のよい除染や健康管理です。税金や電気代がかからないようにするなど、なんらかの優遇策があれば、外部からの人口流入も可能だと思います。
 また、元の住民にとっては、この困難を克服して原発以外の産業(例えば、洋上風力の町、バイオエネルギーの町とか)で、故郷を立派に立て直したという誇りを持てるようにするのが良いと思います。日本で唯一、原発で故郷を穢されたと悔しい思いを持っていますから。(避難者も含め県民は、原発再稼働の動きに対し、いまだに強い反対の意思を持ち続けています) 
 アンケートでは約半数が「帰還しない」という結果が出るようになっています。「帰還する」あるいは「迷っている」住民を中心に、帰還の時まで確実に暮らせる仮設でない住居(仮の町)とある程度の生活補償をして、住民を帰還まで待てるようにする必要があります。ただ、一番帰還の可能性が強い高齢者が、毎年人口の1パーセント死んで行くので、5年掛かるとすると、その間に5パーセントが失われるので、どうしても外部から若い人を入れていく政策が必要となるでしょう。                             
  現在、賠償によって避難住民は潤い、一種のバブルになっています。例えば年金生活者は毎月10万円の小遣いをもらっているのと同じです。除染作業や復旧作業もバブルの一因です。これから警戒区域の区域再編が決まれば、一世帯何千万円という賠償金が入り、新たに避難先に家を求める人も急増します。この金を使わずに、元の家に帰還する人がどの程度いるかが問題ですが、避難準備区域、居住制限区域は二三年で帰れるようになるので、たぶん金を持って帰還すると思われます。(もちろん一部は家の修理などに使うと思いますが)
 残念ながら、大熊町、双葉町は地域の大半が帰還困難区域になってしまいます。私の住んでいた富岡町でも住民の三分の一が住んでいるところが帰還困難です。富岡町の場合は、町役場が復興にあたって、線量の低い地域にコンパクトなタウンを再建しようとしていますが、そのくらいが現実的だと思います。

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