日本エネルギー会議

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なるべく早く正直に

 装置産業である原発は、巨額な投資を回収するために何十年にもわたって運転を続けるが、安全上新たな問題が判明した場合、運転を継続するために追加投資をして改善を図ることになる。総括原価方式を取ってきた我が国の電力会社は、相当の追加投資にも耐えられるし、事実耐えてきた。
例えば、日本原電は建設費500億円の敦賀原発に、運転開始以来、1500億円以上の追加投資をして改造改良を行ってきた。現在、廃止措置中の我が国最古の東海原発では、数十年間にわたって軽水炉の何倍もの電気料金を売電先の東京電力に負担してもらい、最終的にはそれを関東地方の消費者が負担してきたのだ。廃炉の費用も同じ扱いとなる。           
 改造に対してあまりに巨額の追加投資が必要となると発電コストに響いて、原発そのものの経済的価値が失われる。基本設計や立地の誤りを直すことは、しばしば物理的困難を伴う。物理的に可能であっても、一度に発生する巨額の追加投資と長期間の運転停止による発電収入の減少が伴い、原発の改造が電力会社の経営に与える影響は極めて大きい。                     
 日本経済新聞が1月29日報じたところによれば、中部電力は昨年11月、新安全基準を先取りして浜岡原発(静岡県)の周囲に張り巡らせた海抜18メートル、全長1.6キロメートルの防波堤を近く同22メートルまでかさ上げする。防水扉などを合わせた津波対策の投資額は1500億円弱に達する。また、北海道電力は先週、新基準への対応にかかる費用が、600億円規模になるとの見通しを明らかにした。                          
総括原価方式がだめだということになれば、今回のような大規模の追加投資が出来なくなる恐れもあり、その場合は税金でまかなうなど特別なルールを必要とする。いままで、何十年にわたって大事故なく安い電気を供給してきたこと、これからも供給を続けられることをもって、消費者や国民に負担を納得してもらう以外に、装置産業である原発を維持していく手立てはない。使用済燃料や高レベル放射性廃棄物の処理処分費も必ず負担してもらうことになる。
 世の中すべてうまい話はない。掛かった費用は、どこかで受益者に負担してもらう必要がある。このことは自然エネルギーについても言えることだ。時代を超えて原発を維持し続けるためには、国民や消費者に一定の経済的負担をしてもらわねばならないものであるということを、原発の必要性とともに、なるべく早く、国が正直に示すしかない。

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