日本エネルギー会議

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疑念

 福島第一原発の事故にかかわる賠償は、これから家屋など財物を対象とした賠償が始まる予定で、いよいよ山場を迎える。財物のうち、車両は既昨年のうちに賠償が始まっている。また、避難により発症、あるいは持病の悪化に対する医療費や慰謝料などの賠償も行われている。車両に関することや、医療に関することは、専門的知識が必要となることから、東京電力は被災者からの請求内容の査定を専門機関に委託している。車両については日本自動車査定協会(一般財団法人で、中立公正な第三者機関として査定士の技能検定試験と技能向上研修を行うとともに、協会専属の査定士を全国52支所に配置して査定も行なっている)。病気に関しては、審調社(東京に本社がある年間売上20億円の民間の調査会社、医師や弁護士を擁し、自動車事故の損害などを損保会社などから受注している)が、この業務を受託している。
 これらの査定業務の費用は、東京電力が支払っている。日本自動車査定協会は中立公正な第三者機関としているが、審調社は民間であり、発注者である東京電力の意向に従うと考えるのが普通だ。(損保会社が使っていることを考えれば十分に想像はつく)病気に関する査定が昨年の後半から急に厳しくなり、賠償が打ち切られるケースが多発している裏にはこのような事情が考えられる。東京電力は調査専門会社を使い、その費用を出すことについて、国に報告して了承されているとしているが、被災者は誰もそんな専門会社を使うことを認めたわけではない。東京電力は自社の賠償窓口の担当者に審調社の名前を被災者には知らせず、単に専門の機関と言うように指導している。また、査定内容、拒否あるいは減額した理由も一切被災者には通知してこない。東京電力から送られてくる合意書(請求と査定が書いてある)には、備考欄に「この項目は賠償の対象とはなりません」としか書いていないのだ。被災者には反論の場も与えられておらず、一方的に査定額を飲めと言ってくる。いやなら、ADRか裁判所に訴えてくれという態度なのだ。こうしたやり方をやっていることについて、国や県などの自治体の賠償担当職員に訴えると一様に驚く。彼等が、賠償の実態を良く把握していないことも問題だ。
 賠償をする側が決めた委託先をいかにも客観性、公平性があるように装うのは問題だ。この調子で最も金額の大きい不動産や家財の査定をやられたのでは困ると被災者は心配になる。専門機関の指定を東京電力がやるのではなく、少なくとも国や県が適当な機関を指定するべきではないか。

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