日本エネルギー会議

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再び年を越した避難

 福島第一原発の事故で住民が避難してから二度目の新年を迎え、この3月には事故の二周年となる。避難の状況はかつてのように一律ではなく、ある人にとっては変わらず、別の人にとっては大きく変化した。
 福島第一原発のある大熊町、双葉町と南北に隣接する浪江町、富岡町、それに飯館村の一部は相変わらず警戒区域となっており、立ち入りが制限されている。これに対して、避難準備区域となっていた南相馬市、川内村、広野町、楢葉町は区域が解除されて住民が戻ってもよい、あるいは立ち入りが自由になっている。除染も急ピッチで行われているが、今年に入って国の管轄する除染で「手抜き除染」が発覚してちょっとした騒ぎになっている。
 警戒区域だった4町では、大熊町が真っ先に区域再編を決め、現在は中間貯蔵施設建設計画に関して住民説明会が行われている。続いて富岡町、浪江町も近々再編を決める予定だが、双葉町だけは、町長(最近、30年間帰還しないと発言)が、議会で不信任決議され議会解散するなど混乱が続いており、区域の再編も遅れそうだ。また、4町は長期に帰還出来ない避難者のために、県内都市部に公営住宅を建設する計画も進めている。
 現在のところ、多くの避難住民は仮設住宅に入るなど、県内に戻っているが、ほとんどが便利な都市部(いわき市、郡山市、福島市など)で生活している。避難住民に対するもともとの住民の感情は地域によって差があり、会津若松市では仮設住宅の避難者は暖かく迎えられており、会津に留まっても良いと言う避難者もいる。
 最も多くの避難者が住んでいる、いわき市では過去にも市民の落書きなどがあったが、最近、仮設住宅の駐車場に止めてあった車にペンキを塗ったり、タイヤの空気を抜いたりなどのいやがらせが続いている。この背景には人口が急増したことで、病院や市民サービスなどが混雑し市民生活を脅かしていること、避難者は一律一人月10万円の精神的損害に対する賠償を事故発生以来、現在も貰い続けていることに対する嫉妬があるものと思われる。
 総選挙では、福島県内では自民党が圧勝したが、地元紙が行ったアンケート調査では、福島第一、第二原発を全て廃炉にすべきとの回答が75.4パーセントになるなど、原発事故に対する県民の怒りは収まっておらず、逆に他の立地県が運転再開を要望することに対して多くの人が嫌悪感を抱いている。
 新学期を間近に控え、現在各町村が元の学校や避難先で臨時に開校した学校に生徒を戻そうとしているが、ほとんどの子供は避難先の公立の学校に入学を希望するなど、これから長期に避難先に親子で定住する可能性が高くなっている。これから区域再編が決まったところから、東京電力が家や土地の賠償を開始すれば、まとまった金が支払われるために、新たな土地で不動産を購入する世帯が増えると予想され、すでに不動産は供給が不足し、住宅関連の資材相場が高騰している。避難町村は、このままでは大量の人口流出で、自治体の規模が極端に小さくなるのではないかと危惧している。富岡町の将来構想を見ると、「コンパクトな町」にすると書いてある。避難している自治体も住民も、徐々に現実的な考えに切り替わりつつあるようだ。

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