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県民健康管理調査のゆくえ

 福島県が全県民200万人を対象に行なっている県民健康管理調査の基本調査問診票の回収率は、昨年12月5日現在(速報値)23%にとどまっている。相双地域(原発のある浜通りの市町村)に限定しても対象者19万6000人の回答率は43%に満たない。事故当時、大量の放射性物質が流れていった川俣町山木屋地区、浪江町、飯舘村(対象者2万9000人)における先行調査でさえ、回答率は56%だ。これでは基礎データとしても役に立ちそうにない。県は健康状態を長期的に追跡することの意義を強調し、引き続き回収率向上を目指し、特に影響の心配される相双地区を強化するとしている。
 ヒロシマ・ナガサキの被爆者は、戦後60年経過して、多くの方が亡くなっているが、一昨年起きた福島第一原発事故の被災者の数も、高齢化で確実に年に1%づつ減っていることを認識する必要がある。既に事故後に亡くなった約2万人の方は、いまさら健康管理調査も出来ない。膨大な作業を伴う健康管理調査をすることは、被災者本人のために必要だが、それ以上に被ばく線量と健康の関係を知る極めて貴重な機会である。戦争中であり、多くの方が一度に亡くなったヒロシマ・ナガサキに比較して、ずっとデータが取りやすいはずだ。世界が注目する調査を、このまま県に任せておいて良いのかと疑問さえ起きる。
 郵送した調査票の回収を繰り返し広報媒体で求めても、費用対効果は低いだろう。被災者は全国に散らばっているとはいえ、多くは県内に在住している。住所や電話番号は各市町村がほぼ把握しているのだ。郵送の調査票に頼らずに、電話調査や訪問調査をかけるべきではないか。福島本社を作った東京電力が調査に協力しても悪くない。
 県民健康管理調査の詳細調査として、昨年暮れから避難区域を含む13市町村の16歳以上の住民13万2000人を対象として身長、体重、血液検査などを調べることが始まった。24の検査会場以外にも県内539の医療機関でも検査が出来る。これに応じる県民がどの程度いるかは、まだ不透明だ。
 先進国である日本が、この程度の調査もまともに出来ないのは、明らかに行政の怠慢であり、一度行政の精密な健康調査をする必要がある。

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