日本エネルギー会議

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説明の再構築

 今回の選挙では、有権者の関心が集まる政策は景気対策や社会保障で、原発に関して自民党以外は五十歩百歩で
今ひとつ争点にならず、日本未来の党の党首も「こんなはずではなかった」と思っているようだ。
また、原発事故で直接被害を受けた福島県や原子力施設が数多くある青森県や福井県では、政党の政策と候補者の
主張がひどい「ねじれ」を起こしている。選挙後は各地の原発再稼働問題が再びクローズアップされる見込みだが、
政府も規制委員会も事業者である電力会社も原発の安全性に関しての再説明を求められることになる。
 従来の一般向けの説明では、主に建物や機器の耐震性と万一に備えて「5重の壁」によって放射能が外部に
出ないことが安全の理由となっていた。即ち、発生する放射性物質をペレット内部に保持する「燃料ペレット」、
燃料ペレットから発生する放射能が外部に漏洩することを防ぐ「燃料被覆管」、冷却材に溶け込んだ放射能が外部に
漏洩することを防ぐ「原子炉圧力容器」、原子炉圧力容器が破損した際に、放射能および放射線の漏洩を防ぐ
「原子炉格納容器」、そして原子炉格納容器外部まで放射能が漏洩した場合に、外部への漏洩を防止する
「原子炉建屋」である。 これらの壁は今回の福島第一原発の事故でことごとく打ち破られたわけだから、
壁は緩和策とはなるにしても、安全である説明の柱にはなりにくい。では、IAEAがチェルノブイリ事故後に定めた、
「異常の発生防止」「異常の拡大防止」「影響緩和」「過酷事故対策」「防災対策」の5層の防護はどうだろう。
外部にまで影響が及ばないとする「5重の壁」に比べ、外部まで影響があることを認めたこの「5層の防護」は
現実的であり、安全神話からの脱却としては良いのだが、「5重の壁」と異なり、ハードだけではなくソフト面が
大きいこと、それぞれの項目に対してさまざまなバリエーションがあることから、説明はより広範で複雑なものになる。
また、それぞれの防護がきちんと機能するかについても、実証するのは大変だ。
 政府、規制委員会、事業者は福島第一原発の事故の調査委員会の報告書や海外事例を参考にして、
この安全性の説明をどうするか、再稼働に合わせて、それぞれ至急検討を進めなくてはならない。

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