日本エネルギー会議

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関係者以外立ち入り禁止

 私は若い頃、敦賀2号機建設現場の労働安全管理を3年間担当した。あるとき、原子炉建屋の地下通路を
パトロール中に、天井から弱い光が漏れているのを見つけて、垂直はしごを昇り、上の階に行くと四角い開口部に
ベニア板を載せてあった。その場所はその垂直はしごを使わなければ行けない場所であった。
改善指示をしたところ、元請の三菱重工から、垂直はしごの昇り口を厳重にロープアウトしたと回答をしてきた。
現場に確認に行くと、さらにそこに「関係者以外立ち入り禁止」の札まで下げてあった。
 これで万全と思っていたところ、数日して三菱重工傘下のT工事会社の作業員が開口部から墜落して重傷を
負ったとの連絡が入った。現場に駆けつけると例の開口部であった。「たしか、昇り口は閉じてあり、
札までかかっていたはずだが」と言うと墜落した作業員は、関係者以外立ち入り禁止の札を外して、ロープアウトも
解いて垂直はしごを昇り、薄明かりの中を数歩進んだところでベニア板にのり、そのまま墜落したとの
説明があった。 
 幸い命びろいした作業員は後日、「自分は工事関係者だから、ロープや札を外して昇っても構わないと思った」と
証言した。人が立ち入らない場所でも、しっかりした養生蓋を設置し、照明もつけるべきであったし、
市販の安全表示板を安易に使った事が悪かったのだが、現場では関係者だから、プロだからと規則を守らず、
勝手に行動してはばからない人がいるものだ。
 原子力の専門家も、これまで、他の分野の人の意見や疑問に対し、どうせわからないからと無視したり、
軽く考えたりする傾向がなかったか。そして自らは関係者だとして、自分の考え方や行動に過剰の自信を持ち、
応用を効かせたり、ルールに抵触したりしたことがなかっただろうか。

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