日本エネルギー会議

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使用条件へのこだわり

 福島第一原発の事故では、アメリカ製の沸騰水型軽水炉をそのまま我が国にターンキー方式で導入し、
海抜10メートルの場所に建設し、津波に襲われることなど想定していなかったことが問題とされた。
大津波が来る恐れのある太平洋岸に建設するなら、もっと高い場所に建設し、津波に備えて電源室や
非常用電源を高い場所に配置すべきだったと言われている。
 外国製の家電製品などを買った場合、取扱説明書や本体についている注意書きを読むと、このような場合は
使用しないよう、あるいはこうした使い方はしいようになどと、当たり前とも思えることが執拗に書いてある。
日本では最近になってようやく注意書きが多くなった気がする。私は、アメリカが訴訟社会であるだけでなく、
もともと技術者が、使用条件を常に意識して仕事をしているように思える。  
 事故が起きてみると、使用者は設計者や製作者がとても想像していなかったような条件の下で、
想像もしていなかったような使い方をしているものだ。伝統的に、日本の技術者は、使用条件を使用者に
求めることに、あまり熱心ではない。それどころか、少々無理な使い方をしても大丈夫なように、と考えて
設計や製作をしようとする。それは日本製品が優秀だと評価されることにもつながっている。
 しかし、どんな条件の下でも問題なく動くという装置は作れない。単独の機器でなく、複雑な装置ともなれば、
いろいろな組み合わせが出来るので、使用条件は厳しいものとならざるを得ない。
原発は無数といってもよいくらい数の部品、機器、装置の組み合わせで出来ており、それらが機能を
発揮するには、温度、湿度、圧力、電圧、強度などいろいろな条件があるはずだ。
 それぞれの機器はよく出来ていても、それを組み合わせて装置とし、さらにプラントとしてまとめる際には、
それらの条件を矛盾なく維持出来るかを、あらゆるケースで確認しておかなければならない。装置の側だけでなく、
運転員の熟練度がどの程度であるかという想定も必要だ。どのような装置でも、運転員の教育訓練を
必要としないものはない。
 原発で電源盤や発電機が水没してしまえば、まったく使い物にならなくなるのは、誰でも分かることだが、
そんなことは当たり前過ぎて抜けてしまったのだろうか。
日本の技術者が、自分の担当している機器や装置の環境条件、使用条件について使用者に、もっと厳しく要求する習慣を身につけることが、これからの安全の向上に欠かせない。

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