日本エネルギー会議

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視野不足感じる社説

日本経済新聞は9月15日付の社説で「国益を損なう原発ゼロには異議がある」と題して、政府が決めたエネルギー・環境戦略を批判している。慎重さを欠く決め方、政策の単なるつじつま合わせ、青森など立地自治体や海外などに対する目配りのなさ、原発ゼロと再処理事業継続の矛盾、選挙を意識したゆがんだ判断などその通りだと言うしかない。気になったのは、次のくだりである。
「今は自然エネルギーをもうひとつの柱として伸ばし、電力の安定供給と温暖化ガスの排出削減をともに実現すべき時だ。原子力の維持は国民生活や産業の安定をかなえる有用な選択肢だ。かつての化石燃料依存に戻るのはいけない
(下線筆者)
 昨今の世界の政治情勢では、安定供給のリスクを考えることが一番優先されるべきであり、その点で石炭は外すことが出来ない。石炭こそ豊富な資源量、産出場所の多様なこと、価格の安定かつ低廉など、二酸化炭素による温暖化影響さえなければいまだに最高評価の燃料だ。その二酸化炭素も、回収、貯留(CCS)技術は実用化が見えており、現在三菱重工がアメリカで実用プラントで
運転に入っているなど、日本が技術的にもリードしている。当面、石炭火力を建設し、それにCCSを追加することも可能だ。この点を見落として、化石燃料に戻るのはいけないとしているのはシェールガス開発も含め、視野が狭すぎる。
 さらに、社説は「世界では多くの国が原発を建てようとしている」として、日本が技術支援をする必要性に触れ、日本の原発維持を通じて優秀な人材と技術を育て保つことが不可欠だとしている。途上国では総合技術である原発の運転維持は技術水準、経験などに心配があり、例えそれらに問題がなくても管理するための規制や組織の問題がより重要であることは、福島第一原発の事故が証明している。途上国ではテロや紛争など外乱は先進国に比べて可能性がより高い。こうした途上国の状況を踏まえれば、多くの国が原発を建てようとしているから、日本が支援しなくてはならないと、単純に割り切れるものだろうか。イランの原発建設に世界中が注目しているように、途上国における核拡散の心配もある。途上国の原発開発は日本の原子力人材の育成からのみ考えられる問題ではない。

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