日本エネルギー会議

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何故8割が脱原発なのか

エネルギー選択に関する「国民的議論」は、2030年の原発比率について「0%」「15%」「20~25%」の三つを選択肢としたが、意見公募と意見聴取会の会場アンケートは、ともに8割以上が「0%」を支持した。この結果には、脱原発、自然エネルギー開発で論陣を張ったメディアや反原発活動家さえ驚いた。原発事故のあった福島県民が圧倒的に脱原発なのはわかるが、東京など大消費地の人々までが、こぞって脱原発なのは何故かを考えてみた。
今まで、電力の三割弱を支えてきた原発を直ちに止めることは、仙谷氏が言うように、国にとって自殺行為に近い。橋下大阪市長も大混乱を引き起こす停電の可能性があると気づいたために、大飯原発再稼働を容認したのだろう。 
それほどまでのリスクのあることに、かなりの人たちが踏み切る意思を表示した理由の一つは、彼らが今まで、大きな停電やエネルギー不足を経験してこなかったことがある。生活どころか生命をも脅かす停電という実感がないまま、今年の暑い夏も原発なしに乗り越え、自信さえ持ったようだ。原発支持派は今年の夏、「大停電が起きて社会的混乱があれば、脱原発運動はその途端に挫折した」と、声に出して言えないことに歯ぎしりしたはずだ。
普段、原発に関心がなかった人々が、いきなり福島第一原発の事故現場や避難生活の映像を見てしまった影響は確かに大きいが、人々が原発事故の向こうに事故を起こし、その収拾もうまく出来ない国と独占企業のぶざまな姿を見たことがより大きく影響した。
彼らには、何も考えもせずに、危険な原発を国や電力会社に任せてしまったことへの自己反省があり、今度こそは自分たちの意見をはっきり言わなくてはならないと思ったふしがある。地方の犠牲の上に自分たちの豊かな生活があったことに対する負い目も感じた。さらに、使用済み核燃料や廃棄物の処分について、明確な方策がないまま次世代に渡すことに抵抗感を抱いた。
我が国は長期にわたる政治経済の停滞で閉塞感に満ち満ちている。この閉塞感を作り出した一つの原因として、原子力ムラや官僚政治の問題を発見した。先の敗戦の総括も出来ていない日本社会にも気がついた。ここで原発の息の根を止めることで、そうした原因の一つをなくすことになる。そうしたことは普段とても出来ないが、原発事故はそのまたとないチャンスであると思ったはずだ。
脱原発を唱える人々は、ほとんどが毎日の生活を平凡に過ごしてきたが、これを機会に自分はどんな社会貢献が出来るのか、自分の存在はどんな意味があるのかを考え始めた。今回、脱原発支持の表明は格好の社会参加、自分探しのターゲットになったのだろう。

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