日本エネルギー会議

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福島第一原発周辺の土地の活用

福島第一原発事故の収束作業は次に廃炉作業に移行していく。第一原発の周辺には帰還困難となった土地が残る。ここは一時帰宅が出来るものの、線量が高いため、人が暮らすことは10年以上出来ないだろう。また、莫大な費用がかかることと、取り除いた汚染土壌を置いておく場所がないなど、除染を実施するのは現実的ではない。大熊町、双葉町などの市街地は家が建っているが、国道六号線の海側は田畑と林が続いている比較的平坦な土地である。この土地をどのように活用するかを双葉郡の復興計画の中で考える必要がある。
今後、廃炉が進むと大量の放射性廃棄物が発生するが、第一原発の構内では収容しきれない。周辺の土地の第一の活用としては、これらの放射性廃棄物を長期保管する施設を建設することである。また、付随して、廃炉に関する研究、放射性廃棄物の処理処分に関する研究を行う国や県の施設も併設するべきだ。
第二の活用としては、福島県の復興計画にあるように、再生可能エネルギーの開発拠点とすることだ。浜風を利用した風力発電パーク(陸上および海上)、日照時間の長さを活用したメガソーラーや太陽熱発電所、バイオ技術によるメタノールなどの製造プラント、海水の温度差や海流を利用した発電プラントが考えられる。自然の力を利用するこれらの施設は建設してしまえば、運転やメンテナンスは人がつきっきりでなくともよいので、放射線量は問題とならない。
国は国道六号線から東側の土地を買い上げたり借り上げたりして、それを無償でエネルギー開発をする企業、団体に使用させることにする。研究開発にあたる人達が区域解除された広野町、楢葉町、川内村、南相馬市などの地域に居住し、そこから職場に通うことになれば、周辺の地域の活性化につながる。福島第一原発、第二原発では、過去に多くの関係者がこれらの地域から通勤していた実績がある。
 事故の前は、商業施設、医療、介護などのサービス施設は原発立地町である富岡町、大熊町、双葉町、浪江町に集中し、雇用を生み出していたが、今後はそれが周辺の市町村に移動することが予想される。原発の場合、直接原発で働く人数の約二倍のサービス業など第三次産業従事者がいたが、再生可能エネルギーの場合も、その構図は変わらないはずで、周辺区域にサービス業を中心とした雇用が増えることが予想される。また、全国から数多くの見学者が大規模な再生エネルギーの研究開発施設を訪れることが予想され、これが周辺の市町村に経済効果をもたらすことが期待される。

2012.8.11
北村 俊郎

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