日本エネルギー会議

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柳田邦男氏の指摘

政府事故調の委員長代理を務めた柳田邦男氏は、先ごろ放映されたNHKのテレビ番組と本日の朝日新聞のインタビュー記事で、被害者の視点での安全検討が不足していたことを指摘している。
「電力会社や行政の担当者は、システムの中枢の部分の安全対策には精力を注ぎます。それも不完全だったわけですが、周辺住民をどうやって安全に避難指せるかといった問題はいわば遠景として軽く見がちです」「被害者の視点から発想して原発システムと地域防災計画を立てれば、違った展開になっていただろうと思うのです」と述べた。従来、原発側からのみの視点で対策を考えていたが、今後は被害者の視点からの検討も必要だと言うことだ。NHKのテレビ番組では、柳田邦男氏は分かりやすく、パネルで左右に目を描いて両方からのアプローチをするべきだと語っていた。
この指摘にはまったく同感だが、もうひとつの視点が欠けている。それは従来、原発の建設、運営、地元との関係が、電力会社を頂点とした多層構造で行われてきたこと。また、行政面でも国、県、市町村、住民という縦の階層が厳然として存在してきたことの認識である。これはいわば上から目線で物事を考え、上意下達で進めてきたということだ。あらゆる矛盾の解決が、現場や下位の機関に押し付けられ、無理やり結果だけを求められるようなことでは、安全は覚束無いし、隠蔽や改ざんの温床はなくならない。
今後は、原発の安全を通常時も緊急時も、下からの目線で考えることが必要である。柳田邦男氏にはパネルの上と下に、もう一つづつ目を加えていただきたいと思う。

2012.8.4
北村 俊郎

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