日本エネルギー会議

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「原発推進者の無念」の著者が原発事故1周年後の心境を語る その13

私も警戒区域からの避難者として東京電力の補償請求をしている。精神的損害補償や避難生活のために購入した物品について領収書を添付して費用請求を三ヶ月づつ出している。
今年の二月に、はじめて運送業者を連れて一時帰宅し、家財を運び出すことが可能になったので、早速タンスなどを避難先に運搬することにした。東京電力補償相談室(案内)に電話し、どこか指定の業者がいるのかと聞くと、そうしたものはいないので、自分で見つけて手配し、領収書をつけて費用を請求するようにとの案内があった。金額も大きくなるので、念のため金額や方法について何か条件があるのかと聞いたが、条件等はないとのことだった。
運送業者を探したのだが、行き先が警戒区域内の富岡町だというと、日通も、クロネコヤマトも断られた。仕方がないので、富岡町役場に助けを求めると、実績のある二社を紹介してくれたので早速契約した。当日、二トントラックと運転手、運搬係の計三名がマイカーとともに広野町の中継基地から警戒区域に入った。およそ6時間かけて無事に家財などを須賀川市の避難先まで持ち出すことが出来た。到着後にその場で12万円を支払い領収書を受け取った。入域手続きや汚染検査など手間もかかるので、12万円はそれほど高いとは思わなかった。
5月になって、昨年の12月から今年の2月までの補償請求をするときに、この運搬費を入れて請求をした。6月に入って東京電力補償相談室(支払い)から封書が届き、私が請求したもののうちどれが支払われるかについて通告してきた。驚いたことに、家財の運搬費として5万円となっているではないか。これでは半分以上が自己負担となってしまう。
すぐに電話をすると東京電力は社内基準で5万円を上限としているのでそれ以上は支払えないと言う。事前に確認したときは、条件なしと言ったではないかと言っても、電話の相手は固くなに支払いませんと主張を繰り返すのみ。これではペテンにかけられたと同じだと、「何故、事前に尋ねたときに、5万円が上限と言わなかったのだ」とおよそ二時間にわたって猛烈に抗議したが埒があかない。
翌日、念のためにもう一度、東京電力補償相談室(案内)に電話をして、これから引越し業者を使って家財を運搬するのだが、金額や方法に何か条件があるのかと質問すると以前電話したときと同じで条件はなしとのこと。何回確認してもそうだった。ということは東京電力補償相談室には二つの部門(案内と支払い)があり、これらは別々の内容で対応しているということになる。こうしたやり方は避難者を馬鹿にしているどころか犯罪的だ。東京電力は補償業務については専門の弁護士などに指導を受けているようだが、とんだ悪徳弁護士である。被災者に対してこんな仕打ちをしていては、被災者の東京電力に対する恨みは決定的なものになる。東京電力の諸君はどうしてそれがわからないのかと思う。

2012.6.8
北村 俊郎

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