日本エネルギー会議

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「原発推進者の無念」の著者が原発事故1周年後の心境を語る その5

青山フラワーマーケットを主力事業とするパーク・コーポレーションという会社がある。日経ビジネスにこの会社のことが出ていたが、この会社のモットーは、なんといっても「顧客目線に立つ」ことであり、顧客の中に経営上のすべての回答が存在するというのだ。
まったく荒唐無稽に思われるかもしれないが、私はこの記事を読んでいて、電力会社や原子力産業が、あるいは規制当局が「顧客目線に立つ」で考えるとどのようなことになるかと想像した。自分が電気の消費者であったり、原発周辺の住民だったり、あるいは都会に住んで原発からの電気を使っていると仮定して考えてみる。あるいは子供や年寄りを抱えて生活していると考える。すると今まで見たり、考えたりしてきたことに大きな欠落があることに気づくのだ。ちょうど新世界を知らなかったヨーロッパの人々や天動説を信じていた宗教家のようなもので、世界の半分しか視野になかったことがわかる。
昨今、原子力安全・保安院が国民の信用を失ってしまっていること、テレビのニュースショーで電力会社に対して厳しい批判が行われていること、福島第一原発の事故で福島県内から遠く北海道や沖縄まで避難した家族がいること、警戒区域で自殺者が出ていることなど、関係者は「顧客目線に立つ」ことでしか理解出来ないはずだ。今まで、原子力の関係者は本当の意味で「国民目線、消費者目線」に立ったことがあるだろうか。国民や消費者に対して絶えず「上から目線」ではなかっただろうか。「顧客目線に立って」プロの仕事をする。これがあらゆる原子力関係者に必要なことだ。もし、そうしていれば、大津波の知見に対してもっと的確な対応をしていたはずである。

2012.5.29
北村 俊郎

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