日本エネルギー会議

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「原発推進者の無念」の著者が原発事故1周年後の心境を語る その8

日本では科学技術という言葉が普通に使われているが、科学(サイエンス)と技術(テクノロジー)は根本的に違うものだ。科学は西洋で興り発達したが、技術は東洋でも昔からあった。近代では科学的知見の応用として技術が発達し、逆に技術の成立性が科学的に裏付けられている。原子力はアインシュタインなどが発見した科学的知見を基にして、それを原子炉の設計など技術的に具現化してエネルギーとして使おうとした典型的な例である。
日本ではかつて原子力開発の担い手は科学者であったが、原発の商業化が進んでからは技術者がその中心となり、電力会社でも炉物理を学んだ者より、機械や電気を学んだ工学部卒の者が重用されるようになった。
サイエンスはキリスト教徒が神の作った世界が完璧なものであることを示すのが目的だから無色透明なものだが、テクノロジーは人類がより楽に生きるためにという目的やより多くの利益を得ようとする目的がついてまわる。サイエンスが発見した原理や法則を用いて、資源や労力の投入によるアウトプットをより多くするのがテクノロジーである。また、テクノロジーには必ずメリットがあると同時に、デメリットもある。科学者は真実の前に聖職者のごとき態度をとるが、技術者ともなればより世俗的である。日本でも原子力の草創期には、科学者が中心となり原発に対しても慎重な考えが多かったが、技術者が中心になるに従って慎重さが失われた。その結果が、福島第一原発の事故だ。

2012.3.22
北村 俊郎

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