日本エネルギー会議

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福島県の将来(3)

 福島県は人口減少に歯止めをかけるため自然増に加え、県外からの移住者による社会増を目指している。今回は観光産業について現状と将来を考える。
 雇用の6割を占める第三次産業はいわゆるサービス業で、近年全国的に第三次産業の雇用増を観光などに求めることが多くなっている。福島第一原発の事故は風評被害で県内の観光産業に大きなマイナスの影響を与えた。特に津波と原発事故で海を失ったのは大きい。
 現在はこれを元に戻す努力が続けられている。津波の被害の大きかった相馬市や南相馬市、いまだに廃炉や除染が行われ立ち入れない区域もある浜通りでは、南相馬市伝統の「野馬追い行事」が復活したのが救いだ。
 福島県内の観光施設や宿泊施設は一言でいえば時代遅れのまま。戊辰戦争で有名な会津若松市の鶴ヶ城を改修したのみで、どこも立ち遅れが目立つ。何十年も新たな投資が行われなかったのだ。
 世界遺産がゼロの福島県の観光の中心はなんといっても歴史と固有の文化を持つ会津地方と磐梯山と湖のある猪苗代地方。神社仏閣、仏像なども多数ある。冬季の雪は多いが雪景色や辺境の暮らしぶりも観光資源になりうる。二つの地方は隣り合わせで、猪苗代地区からは景観の良い吾妻山への観光道路もある。ここに集中的に投資を呼び込む必要がある。  
 残念なことに県内唯一の空港は中通りの須賀川市にあり、どの地域からもアクセスが悪い。空港に近い郡山市には東北新幹線が通っているので空港は便数も少なく閑散としている。猪苗代に空港を造っていたならばスキー場も近く近く、海外からの観光客も含め相当に利用客が多かったと悔やまれる。新幹線や東北道で郡山市に来ても、そこから会津までさらに1時間を要する。二つ目の空港を計画してはどうだろうか。
 県内には温泉もたくさんあるが知名度はいまひとつ。旅館、ホテルなども古めかしく食事、サービスなどかつての団体旅行向けで今日のニーズに合っていないところがほとんどで、客を呼び込めずリニューアルも出来ないという悪循環に陥っている。
 県内有数の温泉地である飯坂などに行けばすぐにわかることだ。例え新設の道の駅に行っても売っている土産などはどこも同じ。こだわりのあるもの、都会の人が満足する高級感のあるものはない。会津喜多方のラーメンは全国的に有名で県外からも多くの客を呼んでいるが、現状で満足しているように感じられる。日本酒の酒蔵が多く最近は評判も良いので、これも観光資源に使えそうだ。酒の場合、風評被害はそれほどでもない。
 最近、会津の伝統漆器、織物にコシノジュンコデザインが入った、裏磐梯に星のリゾートが進出というニュースもあるが、全体的な底上げとはなっていない。福島が観光立県となるため、優れたプランナーを招き、思い切った投資をすれば、観光産業の雇用を増やし、人口減少が激しい会津地方を救うことも可能だと思う。

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