日本エネルギー会議

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事実

安倍首相の国会答弁を聞いていると「これは事実であります」という言葉が何回ともなく出てくる。野党質問が現状の問題点などについてパネルを使い、数字を挙げて政府の政策の手ぬるさや矛盾を突く。すると、答弁する安倍首相は具体的な実績をいくつか挙げて、「これは事実であります」と野党の言うことが一部を捉えての主張であると反論することがしばしばだ。
アメリカのトランプ大統領があまりにも乱暴な言い方で、確たる根拠もない自説をツイッターするので、アメリカのメディアは「ファクト・チェック」をして対抗する動きが強まっている。トランプ大統領は先に言った方が勝ちと言わんばかり、反論しても自分の言ったことを決して過ちだと認めないので、アメリカの大統領に比べれば、日本の首相はましだと思えてくる。
しかし時間の限られた国会審議では、野党はそれ以上は詰められず水掛け論、すれ違いで議論が済んでしまうのは困ったものだ。ある程度の審議時間をこなせば、あとは委員会、本会議での議決は与党多数で決まる。つい国会中継のテレビのスイッチを切りたくなるのもしかたがない。
 エネルギーや環境の問題についての議論においても「事実」の出し方が不十分、あるいは一面的と感じる場合がしばしばある。また、安倍首相ではないが、一部の事実を使って議論にさせないようにしているとしか思えないこともある。 
福島第一原発の事故で住民にどのような健康影響があったのか、原発の避難計画の残された問題点は何か、エネルギー資源の自給率はどの程度にしておくべきなのか、温暖化ガス抑制目標は原発なしで達成可能なのか、再生可能エネルギーで電力需要がいつまでにどのくらい賄えるようになるのか、使用済み燃料の再処理路線とワンスルー路線ではどちらを選択すべきか、高速増殖炉で燃料増殖するのと海水ウラン回収とどちらを採用するべきかなど、人や立場によってさまざまな事実が語られ、対立する事実が示されてもまともな検証はされずに同じ主張が繰り返される。  
たまにおこなわれる推進反対両派がいる議論の場においても、議論に勝つこと、負けないことが目的になってしまい、まともな議論にはならない。
大変な作業となることは容易に想像出来るが、この際、「暮しの手帖」が消費者の視点で商品テストをしたように、将来のエネルギー選択のための「ファクト・チェック」をしてくれる機関なり団体が現れることはないのだろうか。

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