日本エネルギー会議

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核燃料サイクルの目的は何か

電気事業連合会の勝野会長は、今年最初の定例会見で、原発や核燃料サイクル事業を引き続き推進していくことを表明した。原発は今後も重要な電源として活用する必要があり、サイクル事業はウラン資源の有効活用、廃棄物の減容などの観点から極めて重要と強調した。
もんじゅの廃炉決定の前後から核燃料サイクルについての議論が再燃しているが、電事連のホームページでは核燃料サイクル(実際は原子燃料サイクルと書いてある)には、サイクルは原子力発電の特長を生かすものであり次のような利点があるとしている。

1.エネルギー・セキュリティを高める
日本はエネルギー資源の9割超を海外に依存。ウランは比較的供給安定性にすぐれている。核燃料サイクル確立によりプルトニウムを使えればウラン輸入量が減少し供給安定性がさらに強化される。

2.高レベル廃棄物の発生量を減少させる
使用済燃料を直接処分する場合(ワンス・スルー)は、使用済燃料全部を高レベル放射性廃棄物として処分しなければならないが、再処理することでその量を減らすことができ、放射性廃棄物の処分に関する負担が軽減される。

3.余剰プルトニウムをもたない
日本は、余剰のプルトニウムを持たないことを国際的に表明しており、原発で生じたプルトニウムを再び燃料として利用することは大きな意義がある。

この3つの利点は核燃料サイクル開発の目的とも読める。この3つを満足させる方法は核燃料サイクルだけであろうか。電事連の示す内容は、いずれも核燃料サイクルありきだ。
1. エネルギー・セキュリティを高めるには、時間はかかるが再生可能エネルギーや蓄電池を増やす、あるいは領海内で天然ガスやメタンハイドレートの開発をすることでも達成出来る。原発でという場合でも、既に日本は海水中のウラン回収をキログラム単位で成功させている。量的には無尽蔵でコストもウラン鉱山とくらべて2倍程度であるので、ウラン価格高騰時には十分に使える。
2. 高レベル放射性廃棄物に関しては、いずれにしても現在は見通しのない処分場が必要であり、再処理で廃棄物の量を減少させたとしても課題としては変わらない。原発を減らすなど使用済み燃料の発生量を減らした方が効果的だ。
3. .余剰プルトニウムをもたないためには、МОXで消費するとともに、これ以上再処理でプルトニウムの発生をさせないことだ。現在手持ちのプルトニウムは多くが英仏にあるので日本に戻さず費用を負担して先方で保管してもらう交渉をするべき。

かつて核燃料サイクル政策を守るために、海水ウラン回収の研究費が打ち切られたという話を聞いたことがあるが、確かに海水ウラン回収コストの低減は核燃料サイクルの必要性を脅かすものだ。
電事連会長が今年も早々に核燃料サイクル継続を唱えたのは、昨年暮れに経産省がもんじゅ廃炉を決め、原子力委員会が高速炉開発のペースダウンを示唆したことにより、核燃料サイクル路線を国がなし崩しに放棄するのではという疑念を青森県や福井県などが膨らませないようにする役割を担ったものだったのかも知れない。
再稼働に望みをかける電力業界としては、青森県や福井県を怒らせないことが最重要なことだから仕方がない。

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