日本エネルギー会議

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サウジ崩壊に備える

外交評論家の加瀬英明氏が12月15日、ZAKZAKに書いた「サウジ崩壊危機の影響は 日本は電力が止まって“蛍の光、窓の雪”の生活」と題する記事を読んだ。今回はこれを題材に私が考える「今、そこにある危機と急ぐべき対策について」意見を述べたい。
記事は表題でもわかるとおり、サウジ崩壊は中国より早いとの見方は外交筋では常識で、石油が来なくなれば日本はエネルギーがなくなり立ち行かないという話だ。現在、石油火力は発電の1割程度なので、石油が来ないだけで蛍の光にはならないが、天然ガスも関連してくれば大ピンチになることは間違いない。
 私は電力も心配だが、まず車が動かなくなり流通がストップすることで日本は麻痺してしまい、人命が危うくなると考える。車もそうだが産業のほとんどが内燃機関に依存しているため、工業はもとより農業や漁業ですら操業がストップする。200日程度の石油備蓄があるとはいえ、太平洋戦争開戦時の状態だ。今の日常生活や産業活動は巨大な流通によって支えられている。それらはすべて石油を使う内燃機関を使っているから電力ストップの影響と同じか、それ以上に国としてのダメージが大きい。 
 そこで大至急やらねばならないのは、車の脱石油すなわち電動化だ。来年は世界中で電気自動車元年になりそうだが、日本でトラックやバスも含めて大半が電動化するのにはまだ10年も先のことだろう。それまでにサウジが崩壊しなければよいのだが、どうやら雲行きは怪しいようだ。電気自動車の消費する電気は現在の総発電量の数バーセント程度だと言われているから全体の発電設備は増強しなくても年々の需要減少分程度を維持出来ればよい。
 石油の供給逼迫に伴い、火力発電のための化石燃料が高騰し入手困難になるだろうから、原発を動けるようにするとともに再生可能エネルギーを大至急増やして火力発電所に対する依存度を引き下げておくことだろう。原発は新基準適合したものを再稼働させる以外に廃炉をするものも含めて万一に備えていつでも運転再開出来るよう国は電力会社に整備を指示するべきだ。このための金は安全保障費用として国が電力会社に代わって負担する。
再生可能エネルギーは安定的な発電が期待出来る水力、バイオマス、風力に対して買取価格を維持あるいは上昇させる。太陽光については接続抑制を防ぐための蓄電池を設置することへの補助金制度を設けることで再生可能エネルギーを短期間に出来る限り増加させる。
 車の電動化についてはトラックなど業務車両を優先的に考え、電動車の重量税免除などの思い切った政策を取るべきである。蓄電池型の電動輸送船の開発も急ぐ。これらの必死の政策努力は新たな日本の技術的強みにもつながり、看板倒れになっているアベノミクスの三本目の矢になる。加瀬英明氏の記事を読めば、私は素直にこう考えるべきだと思うが、何故世間では議論が沸騰しないのだろう。
・石油は自動車用燃料として一番多く使われており、約1/3以上を占めている。
・発電に使われている割合は震災の影響により3倍になった。


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