日本エネルギー会議

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除染費用の住民負担

12月12日の産経新聞によれば、政府が今月中に閣議決定する「原子力災害からの福島復興の加速のための基本指針」で、福島第一原発の事故で立ち入りが制限されている福島県の帰還困難区域内に整備する「特定復興拠点」の除染費用を国が負担することを盛り込んだことが判明した。除染費用はこれまで原則東電の負担としていたが、東電が帰還困難区域の全住民への賠償を実施していることなどを踏まえ、特定復興拠点の除染については「東電に求償せずに国の負担において行うものとする」と明記した。国が前面に立って復興に取り組む姿勢を示す狙いもあるという。

この除染は帰還困難区域全体を除染するのではなく、「特定復興拠点」に指定されたごく一部分を対象とするもの。帰還困難区域の実態は、ほとんどが他の地域の除染によって発生した放射性の土壌を詰めたフレコンバッグが山積みとなっており、除染をする余地はほとんどない。そのことは県民にもあまり理解されておらず、ようやく帰還困難区域も除染が始まったと誤解している人が多い。

「東電が帰還困難区域の全住民への賠償を実施していることなどを踏まえ」とは、いったいどのような理屈なのかも理解に苦しむ。土地や家屋の賠償、精神的苦痛に対する賠償を支払った東電は、撒き散らした放射能をそのままにしておいてよいというのか。事故直後のゴルフ場の起こした裁判で、裁判所が放射能は誰の所有物でもないので賠償は不要との判決が出されたことを思いだす。

「国が前面に立って復興に取り組む」は、いかにも国が逃げずに積極的に介入するように聞こえる常套句だが、冷静に考えれば東電の負担を少しでも軽減し、その分を国民の血税で賄うようにすることだ。それは福島第一原発の事故で大変な思いをしている福島県民はもとより、帰還困難区域から避難していまだに県内外で生活している避難者も納税を通して除染費用を負担することを意味する。東日本大震災のための所得税の割増については国民の一人として協力しなくてはならないと思うのだが、自分たちが追われた場所の除染費用も負担せよというのは到底納得出来ない。 

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