日本エネルギー会議

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もんじゅの検証を

先月末、政府は「高速炉開発会議」を開き、高速増殖原型炉「もんじゅ」に代わる新たな高速炉の開発方針の骨子案を示した。作業部会による開発作業の策定作業を年明けから開始、2018年までに18年以降10年間の開発作業を策定する。

朝日新聞はこれを翌日の社説で「もんじゅ後継 無責任さにあきれる」と批判した。利害関係者だけが集まり、密室で不合理な政策を決めていく。手痛い失敗の検証や反省がないまま、成否が見通せない巨額のプロジェクトに突き進む。国の原子力行政は一度決めた政策に固執したままで、過去の教訓に目をつぶり、お手盛りの会議で、疑問だらけの高速炉開発に税金をつぎ込もうとしている。こんな愚行は許されないと痛烈だ。

 日頃から原子力推進を訴えている産経新聞も今月4日、資源貧国の日本にとって高速炉や高速増殖炉の開発はエネルギー安全保障上必須であると従来の主張を繰り返しつつも、「高速実証炉はもんじゅの轍を踏むな」と題して、開発戦略には大きな見落としが含まれている。1兆円もの国費を投入しながら、20年以上にわたってほとんど稼働しなかった「もんじゅ」の敗因の解明が全くなされていない。この検証をなおざりにして、実証炉の開発に進めば、もんじゅと同じ轍(てつ)を踏むことは火を見るよりも明らかだろうとしている。もんじゅの蹉跌(さてつ)の主因は、運営組織のガバナンスの問題なのだとの指摘もしている。

 もんじゅがどのような道をたどったのか。ガバナンスは電力会社の軽水炉開発と比較してどう違ったのかなど、もんじゅの計画、実施体制のどこに問題があったのかを詳しく調べ、そこから反省材料を取り出さなくてはならない。これは1兆円以上の税金を使った者たちの責任である。それをせずに新たな高速炉を作ろうというのは、両紙の主張のとおり問題であり、検証作業をするため政府は直ちに第三者による検証委員会を立ち上げるべきで、高速炉の開発方針の作業部会はそのあとだ。

検証にあたっては、過去にもんじゅプロジェクトに関与した組織や人はすべて調査の対象とするべきと考える。日本原子力研究開発機構(かつての動燃事業団を含む)、文部科学省、原子力委員会、原子力規制委員会(かつての原子力安全委員会を含む)、自民党・公明党や民主党など政権中枢にいた政治家、メーカー、ゼネコン、福井県などの自治体、電力会社、原子力諸団体も対象にする必要がある。事ここに至るまで手をこまねいて傷口を深くしてしまった関係者の不作為は厳しく問われなくてはならない。原子力規制委員会が指摘したような組織の体質がどのようにしてつくられてしまったかを中心に解明がされなくては新たな組織はつくれないはずだ。 

 もんじゅのナトリウム漏れや装置の原子炉内落下は重大な事故ではなく、原因も単純なものであり、外国では問題にされない程度のものだとの関係者の主張も聞こえてくるが、そうであれば堂々とそれを主張すべきであったし、研究開発をすると同時に国民のエネルギー安全保障に関する安易な考えや放射能アレルギーを治すべきであった。それを怠ってもんじゅという城に立てこもってしまったのが躓きの始まりだ。国内で新たな高速炉の開発を行おうとするなら、そこまでやらないと間違いなくまた暗礁に乗り上げる。

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