日本エネルギー会議

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寺田証言を読みましたか(8)_完

最近読んだものの中で大変重要だと思ったのが、福島第一原発の事故当時、総理補佐官だった寺田氏が書いた事故対応に関する証言。私の得た感想と得られたヒントの第5回です。証言そのものを併せてお読みになるにはハフポストの下記サイトでお読みください。
ハフィントンポスト

以下は第8章に関して私の感想と得られたヒントなど

スピィーディーの本当の評価はどうなのか。班目委員長の言うとおり使えないものなのか。原発からの放出量を仮定することで対応の参考にはなるのではないか。現地の風向風速のデータや気象予報の技術を最大限に活かせるシステムを各サイトに構築し、避難指示・誘導などに使えるようにしておくべきである。

巨額の費用を投じながら、役にたたなかったシステムを作った責任はどうなるのか。誰もが悪くなく、皆の責任ということでは、税金を大切に活かして使おうという意識が希薄になって、自分たちの興味のために使ってしまうことになる。そもそも官僚などが「責任を取る」ということはどういうことなのかを追求しないままずっと過ごしてきた。

原発事故時の省庁の縦割り、縄張りから来る問題への対策はどのように改善されたのか確認する必要がある。責任範囲、協力義務を出来るだけ明確にしておくべきである。

原発毎に炉型、設置場所などによって最悪事態が異なるはずであり、原子力規制委員会と各電力会社が共同で、まずそれぞれ考えうる最悪の事態を明らかにし、その対応を検討しておくべきである。国全体としても東日本、関東から関西、中国四国九州のいずれかで過酷事故発生した場合、どのような事が起きるのかについて危機管理上、想定だけはしておく必要がある。

高層ビル用のコンクリートポンプ車を使用して注水するという方法は素晴らしいアイデアであり、それを即投入する実行力もあった。現場で必要な直流電源を駐車している車のバッテリーに求めたことに匹敵するグッドアイデア。こうした知恵を万一の際にどのように集めるかについても研究をするとよい。

ここに登場する二人の学者は相当に問題があると言わざるを得ない。参与などの専任にあたって注意すべき。党所属議員の推挙で内閣府参与になったとあるが、選任についても再検討すべきである。また、判断や決定に際してはある程度の数の学者の合議による裏付けが必要ではないか。

後々のことを考えれば、避難区域の設定については慎重な検討が必要。それぞれの県の人口分布、原発事故の状況が異なるため、判断は極めて難しい。原則を決めていてもそれをいつのタイミングで実行するかという問題もある。また、住民が政府の指示に従ってくれるとも限らず、場合によっては大混乱になるおそれもある。放射線量や汚染の程度は均一ではないため、区域の外でも大きな値になる可能性がある。原発から同心円で何キロに加えて飛び地を規制することとなる。それにはドローンの活用を含め測定網をよほど充実させる必要がある。

経済産業省の元課長の柳瀬氏が浜岡即時停止を擁護したのは不思議。寺田氏の「浜岡を生け贄にして、他の原発の停止を避けようとしている」との邪推があたっているかもの知れない。官房長官がいきなり浜岡停止を発表するのは、潰されないためであると言っているのは興味深い。もたもたすれば、力の大きい経済産業省、電力会社などが政治力を使って邪魔してくることを政治家の勘でわかっている。現実の泥臭さはまるで小説のようである。

過酷事故対応を経験すると原発の怖さが頭でなく身体でわかるような印象を受ける。運転員のほか、本社のスタッフなどにも、普段の業務遂行において慎重な考え方を習慣づけるために、一度ならず過酷事故の訓練を経験させることが有効である。

寺田氏の進言を受け入れて管総理が解散をしていたら、国民投票で原発の是非を問うようなことになり、即脱原発に向かったと思われる。5年後の鹿児島、新潟の知事選挙でさえ原発争点にすると原発再稼働に慎重な民意が示されている。管氏がいまだに脱原発を説いて回っているのは、このとき決断が出来なかった後悔からか。

対応者用の宿泊設備、食事、健康管理などの完備が必要。アメリカ軍が兵站に力を入れたのに対して、日本軍がお粗末だったが、あいかわらずのようだ。

これらについて事故後いままでに改善された事実をご存知であれば、お教えいただきたい。     (完)

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