日本エネルギー会議

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日本人は何故原発が嫌いなのか(2)

アンケート調査によると日本人の多くが原発に否定的だ。今回から原発を嫌う理由についてさらに詳細に内容を検討するとともに、どのようなかたちで原発嫌い、原発拒否につながっているか、そして他の理由にどのように影響しているかを分析する。

1.古代から続く日本的世界観
いきなり古代とかア二ミズムを持ち出すのは唐突かもしれないが、原発を嫌う感情には温暖で自然の恵み豊かな国土に縄文時代から二千年以上の時間を経て育まれた世界観が、現代の日本人にもしっかり受け継がれていることが関係している。

その世界観は自然を崇拝し、人間も自然の一部であるとの認識が基本となっている。欧米人などの自然と人間が対峙し、これを征服していくといった考えとは正反対で、未開の地の原住民のア二ミズムにも共通したものだ。日本人にとって自然は神であり自然こそ最高のものである。これに逆らわず、自然の中でこの恩恵を受けて暮らしていくのが一番望ましい生き方だと考えている。

神社で手を合わせるのは、何かを願うのではなく、神すなわち自然から頂いているものに感謝するという行為だ。衣食住は自然のものが最高であり、常に自然の恵みを活かすことが大切だとしている。これはエネルギーにおいてもそうであって、山の木を薪や炭にするが、木を全部切ってしまうことはない。ジャレット・ダイアモンドもその著作で樹木をすべて伐採してしまったレバノン杉やイースター島と江戸幕府の木曽桧保護の対比で文化の違いを説明している。

日本人は、原発は有効な手段であるが再生可能エネルギーなど自然由来のものがさらに望ましいものだと思っている。原子力は自然界にないものを人工的に創りだしたもので、自然に対する挑戦と捉え、そこまでするのは思い上がったことではないかと疑念を抱いてもいる。これが、ラジウム温泉の放射線は良い放射線だが、原発から出る放射線は悪い放射線だという主張に繋がっている。福島県の三春町に「みちのく霊泉・やわらぎの湯」という有名なラジウム温泉がある。温泉施設の入口には温泉の発見者である施設の経営者の名前で「自然の放射線は身体に良いが、人工の放射線はそうではない」との説明書きが掲げてある。

エネルギーの選択においても、自然エネルギーが常に原発より上位のものと考える。ここから原発は必要悪であり、出来れば使わないで済むようにするべきだと考え、原発は再生可能エネルギーなど自然の力を引き出す技術が開発されるまでのつなぎでしかないと位置づける。高速増殖炉によって無限のエネルギーを得て使い放題にするよりは、自然から得られるエネルギーを最大限に活用しまた無駄にしないようにするのか正しいことだと思っている人もいる。

この考えで行けば、原発開発より省エネ努力が重要だということになる。運転中、あるいは事故の際に環境に放射性物質をバラまくこと、放射性廃棄物を超長期間貯蔵するなどは、将来の世代に引き継ぐべきかけがえのない自然を汚す邪悪な行為と考えがちだ。いずれにしても、原発を嫌うこの感情は東洋的なものであり、特に日本人においてその傾向が強い。

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