日本エネルギー会議

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危険ではないのか

東京電力とGEが共同で富津火力発電所にIoT(Internet of Things:モノのインターネット)の技術を導入する。目的は発電設備の効率改善や信頼性の向上だ。同発電所は東京湾岸に位置する国内最大504万キロワットのLNG火力発電所だ。IoTシステムは発電機のタービンに設置した多数のセンサーからデータを収集、処理して性能向上や故障検出に利用しようというもの。東京電力は富津での実績を持って他社にも売り込むことでビジネス展開しようとしている。

今までメーカーは電力会社に開発コストを負担してもらい製品開発をし、それを納入した後、全国の電力会社などに実績として売り込むという、いわば使い回しをしてそれで大きな稼ぎをしてきた。電力会社もこれを鷹揚に黙認してきたが、ここにきて電力会社もようやく目覚めたようで電力自由化の影響がここにも現れている。

このニュースを知って、ついに大型電源という重要インフラをハッカーやテロなどインターネットを使った破壊行為の危険にさらすことになるのではないかと思った。現在我が国では多くの原発が停止していることから、電力の大半を火力発電に依存している。西日本との連携線の強化が完成していない状態での、東京湾岸の大型火力発電所の突然の停止は首都圏の大停電に即つながる可能性が高く、火力発電所にIoTは危険だと警鐘を鳴らすべきではないか。

原発も火力発電所も中央制御室のコンピュータなどによってすべてが管理されているが、これらはハッカーなどによる攻撃を恐れて外部とは繋げていない。しかし、これをかいくぐって発電所員やメンテナンス作業者が使うUSBメモリーを介して侵入することもあるようだ。イランのウラン濃縮工場はアメリカの特務機関によってインターネットを通じて攻撃し完成前に破壊されたというニュースもある。

この瞬間にも日本の機関、企業、個人は世界中の機関やハッカーからの攻撃を何億回と受けている。東京オリンピックで一番心配されているインターネット空間でのテロだ。そんな状況で大勢の命にかかわる大型電源(送配電網を含む)にIoTを導入してもよいものだろうか。技術進歩と妨害行為はどこまで行っても「盾と矛」の関係だ。技術進歩が妨害技術の進歩も意味するのだからどこまで行っても終わりがない。いくら完璧といっても、メンテナンスの際は人が外部から入らざるを得ないから、関係する人の思想チェックが完璧に出来ない以上、安心は出来ない。

社会的な大きなリスクを背負ってまで効率向上(利益の増大と言ってもよい)をすることが一企業の判断で行われてよいものか。競争に勝つために効率化ばかりに目が行っているとすればこれは危険なことだ。そうではないというならその点を明らかにしてもらいたいが、テロ対策の多くは手の内を明かすわけにはいかないと情報開示を拒否される。では、完全なテロ対策が行われているか一般の人にはわからず専門家にお任せ状態になる。それでは心配なので、原子力規制委員会などのような独立して専門技術能力を持つところが、IoTシステムを採用した大型電源のハッカー対策の充実ぶりを定期的に監査するような仕組みを作ってからにするべきだ。
福島第一原発の事故では、東京電力はおおきな穴を見落とし、会社の存続どころか国の存続をも脅かしたことを忘れてはならない

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