日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

寺田証言を読みましたか(5)

最近読んだものの中で大変重要だと思ったのが、福島第一原発の事故当時、総理補佐官だった寺田氏が書いた事故対応に関する証言。私の得た感想と得られたヒントの第5回です。証言そのものを併せてお読みになるにはハフポストの下記サイトでお読みください。
ハフィントンポスト

以下は第5章に関して私の感想と得られたヒントなど

ひとつのサイトに複数号機があると、地震など自然災害に同時に襲われる。また、他号機の影響を互いに受けるという不利がある。複数号機のサイトは同時被災に備えてそれなりの体制が必要である。ひとつのサイトの機数には制限があるべきである。

「本当にベント弁が開かなくなったらどうするか」。「殺人的な線量となった場合、または爆発した場合、以後の対応はどうするのか」等については、現在もまだ明確な判断基準は示されていない。

「撤退をする」判断は誰が何を基準に、誰と相談して行うのか。平時からさまざまなケースを検討しておく必要がある。


「撤退を認めたらこの国はどうなるんだ!」ということが起こりうるのであれば、いかに原発が我が国のエネルギーとして望ましいとしても、そのような構造の原発を運転することは許されてよいものか。(撤退しなかったとしても、事故を収束させられるとは限らない) おそらく管元総理や小泉元総理が強硬な脱原発を唱えるようになった裏には、そのような発想があると思える。

民間企業の従業員に対して誰がどのように指示を出すかの問題は既に解決されているのか。それとも公務員(自衛隊、規制庁や研究機関の職員など)で突入出来るようにするのか。万一の場合、補償などはどうなるのか。

福島第一原発の事故が発生した際に、全国の原発に対してはどのような指示が国から出ていたのかを調べる必要がある。また、今後はどうするのかについても検討が必要である。

撤退しないことに東電が意外にもあっさりと同意した理由としては、一部を除いた大多数の社員や、請負の人を退避させることが出来ると考えたのではないか。また、撤退に関する判断について国の指示あるいは共同責任に出来ると判断したのからではないか。(事故原因についても、後に国の認可した設備云々との社長発言があった)

東電本社対策本部の充実した通信設備などと官邸のアナログな状況を比較して寺田氏は驚いているが、今後官邸はどのような設えにするのか。どのように電力会社や現場オフサイトセンターなどとの情報共有、情報伝達の仕組みにするか改善は進んでいるのか。東電と日本原電以外の電力会社は本社が地方にあり、東京には支社のみである。これらのネットワークはどのようにするのか。

総理のうたた寝はしかたがない。生理的な限界で重大な判断をミスしないよう何らかの対策を取る必要がある。原発事故以外にも他国との国境での衝突やテロ事件などのことを考えると心配になる。

東電の会長、社長の力関係、社内での存在が、初対面の寺田氏でもすぐに気づくほどであった。かつての不祥事などで社長の座を降りても院政を続けるため軽量の社長でも務まる構造である。(電力会社に限らないが、特に電力会社はそのような傾向が強い) 次世代経営陣の育成やいざというときに能力に問題がある。(官邸は最初から清水社長でなく、勝俣会長を呼ぶべきであった)

総理一人が頑張ってもどうにもならないことばかりであるが、総理は責任感から極端な言動を見せている。平常にもどった今こそ、それらを振り返ってどうすればこの矛盾を少しでも緩和出来るかをじっくり考えるべきである。不謹慎な発想かもしれないが、安倍総理も含め歴代の総理大臣だったらどこまで出来たのか、もっと的確な判断指示が出来たのか想像してしまう。管総理の言動に対しては現地にヘリで行ったことなど、とかく批判が多いが、寺田証言を読んだ限りでは、管総理の官邸での判断・指示は大筋では評価して良い内容だったのではないか。

これらについて事故後いままでに改善された事実をご存知であれば、お教えいただきたい。

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康