日本エネルギー会議

  • 設立趣旨
  • お問合せ

長期停止の影響(3)

福島第一原発の事故が起きてから、全国の原発のほとんどがかつて経験したことのないような長期の停止をしている。今までも不祥事などが原因で多くの原発が一年以上も停止したが、これほどの基数が5年以上も停止することは世界でも例がない。しかも、この状況がまだしばらくは続くだろうというところに問題の深刻さがある。前代未聞とも言うべき状況に対して、どのような影響が現れるかを人、モノ、金で検証する必要がある。今回は金銭面について。

1.
電力会社は日銭を稼ぐ商売だ。現在、ほとんどの原発が停止を余儀なくされ、日銭が入ってこない状態。それであっても運転員は直体制を崩さず、常駐の外注先の企業も点検や清掃などを継続して受注している。これらはすべて費用となるため、これに見合った電力の生産がなければ、電力会社の財務諸表の内容は悪化し続け、当該原発の全運転期間での経済性は日に日に低下して行く。停止していたからといって発電設備の償却費を計上しなくてよいわけではない。停止中は核燃料の減損は発生しないため、この部分に関しては費用の発生が抑制される。しかし、核燃料の移動や保管の業務が増加し、その分は余計な費用となる。
2.
各原発では新基準に適合するよう巨額の追加工事が行われている。その大半が設備投資となるが、今後再稼働し、高い稼働率で運転することで投資分が回収出来るか保証はない。さらに規制委員会から追加工事の指示があった場合や、国内外での新たな知見による設備改善指示が出た場合には、投資額がもっと膨らんでいくことも考えられる。
3.
長期停止は追加工事費用の発生とともに、供給代替のために火力発電などを稼働させる必要があり燃料費、修繕費などの増加で、電力会社の収支を直撃する。また、化石燃料の国際価格や円相場によって経営上の不安定さが大きくなるという問題がある。
4.
各電力会社の財務状況の悪化は、当然ながら資金調達コストも上昇する。電力自由化が本格化し、これから競争に打ち勝つためにはさまざまな投資も必要となるが、資金確保の面においても長期停止は困った問題となりつつある。
5.
長期停止が原発の廃炉判断につながれば、廃炉積立金の不足で新たな資金需要が発生する。(先行している廃炉の実績を見れば、どの原発でも積立金が不足すると思われる)

  • データベース室
  • エネルギーとは?
  • 世界と日本のエネルギー
  • 原子力の論点
  • 放射線と健康