日本エネルギー会議

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寺田証言を読みましたか(1)

最近読んだものの中で大変重要だと思ったのが、福島第一原発の事故当時、総理補佐官だった寺田氏が書いた事故対応に関する証言。私の得た感想と得られたヒントの第一回です。証言そのものを併せてお読みになるにはハフィントンポストでお読みください。

2011年3月11日。寺田学氏は、菅直人首相(当時)の下、首相補佐官として東日本大震災を経験した。「自分や官邸関係者には不利なこともありますが、それでも正直に記すことが被害に遭われた方や未来の方々への微かな誠意と思っております」と語る寺田氏の証言は3月にブログで公開され、その後8回にわたってハフポスト日本版に掲載された。本人が、事故調査委員会に証言した話に加え、聞かれなかった内容も含まれている。
目次ば次のとおり。
【1】3月11日
【2】重要免震棟へ
【3】福島原発、爆発
【4】東電、撤退用意
【5】統合本部設置へ
【6】首都圏に放射性物質
【7】反転攻勢
【8】最悪のシナリオ等

第一章に関して私の感想と得られたヒントなど

進んでこのような証言をした寺田氏に敬意を払いたい。官邸メンバーとしては当然といってしまえばそれまでだが、事故の初動で精神力、体力の限界と闘いつつ、実によくやってくれたと評価すべきだ。ここに登場する人々は皆、証言や記録を後世に残す義務がある。既に5年半も経ってしまったが、寺田氏に続く人が現れることを期待したい。

国家の重大事が起きたときは、官邸などでは直ちに飛行機の操縦室のようにボイスレコーダーが起動するようにすべき。寺田氏本人も内容の正確さについては随分と気にしている。東京電力はテレビ会議のビデオが残されており、これに比べるとよほど記録がしっかりしている。中央制御室も緊急時にはボイスレコーダーやビデオがあったほうがよい。

睡眠不足はきつい。私も現場で人身事故など起きた際には、徹夜をしたが二日も続ければ意識が朦朧として思考能力が半減する。適切な対応が出来ない可能性もあり、事故発生の翌日からはトップも含め二人ひと組にするなどして長期戦に備える仕組みを作っておくべきである。

管総理は東工大卒である程度原子力の基礎や原発の構造原理を知っていた。それが良い面にも出たが、悪い面にも出たようである。この段階で、原子炉が冷却出来ないことの重大さを理解することは歴代総理では無理だったと思われる。

発事故が起きたら、少なくとも原発の現場の幹部を経験した者をいつでも質問出来るように本部長の傍につけることが必要。役人や学者だけでは対応は出来ない。経産省の部長が評価されているが、現場経験で現場の状況が頭に入っていなくては十分とは言えない。(副社長級の現場経験者が官邸に送り込まれたが、現場情報も入らず、ずっと待機の状態であったような話がある)

たまたま福島第一原発は東京電力の原発で、本社が官邸の目と鼻の先にあったが、日本原電以外の地方の電力会社の場合、東京支社は少人数である。その場合、どうするかを検討しておく必要がある。

東京電力の本社がテレビ会議によりリアルタイムで情報を得ているのに対して、官邸にはあまりにも情報がなく、またその意味がわかる人がいなかったが、この情報格差をなんとかしないといけない。

北方領土の島の名前が読めない担当大臣がいたが、国家の危機管理上、担当する分野の基礎知識のない者を他の理由で大臣や副大臣に任命することは絶対に避けるべきである。また、就任後直ちに危機管理については教育訓練を義務付ける必要がある。

電源喪失なので電源車という単純発想であった。繋ぎ込めるのか確認せずに電源だけ用意してもだめだ。電源車、ケーブル、つなぎ込端末、その先の機器が健全であること、電源車の燃料や操作員も必要。現場的センスをどこかで持たなければならない。ヘリで運べる装置、器具などの準備。オスプレイなど大型ヘリの確保も検討するべき。

緊急事態であっても、官邸内のセキュリティチェックは行わねばならない。これを徹底するべきである。テロを狙っているところにつけ込まれる恐れがある。

出された指示や措置の進捗フォローをどこがやるか決めていないように見える。その結果をどうするかも含めてあらかじめ決めておく必要がある。

東日本大震災では、東京でもかなり揺れたが、電話は普通に機能していた。どこまで大丈夫なのか確認と、電話不通の場合の連絡方法についてあらかじめ決めて置く必要がある。

管総理がヘリで現場に飛んだことで、現地で対応している吉田所長などの邪魔になったと言われている。では、時の総理はどのように行動すればよかったのかを考えておく必要がある。東京電力の本社に補佐官などをすぐに向かわせて情報を取って官邸に上げる役割をさせるのも一案。地方電力の場合は、補佐官を電力の本社にへりで向かわせることになる。

エレベーターに乗る場面が出てくるが、余震でエレベーターが停止して中に閉じ込められることもあるので、階段使用を徹底する必要がある。また、階段も通れない場合の迂回路もあらかじめ検討しておく必要がある。

原発事故が発生したためそちらに気をとられ、津波、地震で未曾有の被災をした地域への官邸の対応が十分に出来なかったように思える。 

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