日本エネルギー会議

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とと姉ちゃん

今評判のNHKの朝ドラ「とと姉ちゃん」の主人公である雑誌社の女社長、小橋常子の口癖は「どうしたもんじゃろのー」だ。目の前にある問題や課題をどう解決すればよいのか。主人公が義理と人情に挟まれて、あるいは経営理念と経営維持のどちらを選ぶかで悩んだときに、このセリフが出てくる。これは問題解決型思考だ。

大学の担当教授が卒論前にゼミの生徒たちに「問題発見こそが大事で、それさえわかれば、あとはアルバイトにやらせても問題は解ける」「最近はそれどころか、どこかの論文の写しが多すぎる」と諭したことは忘れられない。これが問題提起型思考だ。問題とはあるべき姿と現実のギャップである。あるべき姿を見出し、しっかりと認識することは自分にしか出来ず、アルバイトにはやらせられない。

卒業して原子力の世界に入り数十年を過ごしたが、今思い起こすと「どうしたもんじゃろのー」がほとんどで、本来の問題や課題は何かを探すことが疎かであったように思う。問題解決型思考を続けていると、このまま行けばどうなるかを怖がって本当の事を見ないようになる。本来なら枠組み自体を考えなくてはならない場合も、ハードルが高そうなので目先のことに集中するのが一番と決め込み、そこに逃げ込む。うろうろと落としどころを探り始める。

「どうしたもんじゃろのー」と言っている間に人事異動があって、次の世代の人の手にわたると条件がさらに悪くなっていて、もう高所恐怖症のようになる。飛び降りることはもちろん、一歩動くのも容易ではなくなる。

役所に「実はこんなことがあります」と持ちかけたら、「俺がこのポストにいる間はその問題は存在しない」とはねつけられたと嘆いていた同僚もいたから、政策をやる役所でさえ、問題解決型思考だったようだ。

福島第一原発の事故から5年半、潮が引くように問題提起型思考が少なくなっている。核燃料再処理、高レベル廃棄物処分、電源構成、温暖化対策など問題解決型思考ではにっちもさっちも行かない問題がごろごろと転がっている。これに問題提起型思考で今すぐ取り組まねば、次世代がより劣悪な条件で苦しむことになる。

河田東海夫氏(元原子力発電環境整備機構理事)も次のように指摘している。「アメリカ合衆国エネルギー省では、どの技術が明日の技術で、どれがアサッテの技術かの評価を行い、モジュラー型HTRとナトリウム冷却型高速炉は明日の技術、溶融塩炉などはアサッテの技術という評価を明快に下しています。(アサッテの技術とはいえ、有望なものについてはDOEは民間の開発努力を支援) 自前のエネルギー資源が豊かな米国で、原子力の将来に向けてこのような検討が進められている中、エネルギー最貧国の日本の原子力委員会がそうした大きなビジョンを作るリーダーシップを全く発揮しようとしないのは、寂しい限りです」 同感だ。

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