日本エネルギー会議

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科学の信頼は取り戻せるか

市民と科学者の放射線コミュニケーションネットワーク「知りたいこと、伝えたいこと~放射線被ばく影響の科学的考え方」(市民フォーラム)という会合の案内が、メール受信ボックスに届いた。会場が大阪大学中之島センターとあり、遠方なので参加できないが、その趣旨に目が止まった。

そこには「科学の信頼を取り戻すこと」、これが今回の福島事故の課題です。科学への信頼失墜は、人類の歴史に長く影響するでしょう。そんな思いから私たちは、科学者・市民・福島県外避難者、学生が一緒になって放射線の影響についての知識を、噂ではなく、事実に基づいて調べてみようと勉強会を始めました。その成果として 5年がかりで出来上がったのが「放射線 必須データ32」です。世界初といってもいいこの共同作業を通じて完成したこの本を手掛かりに、これからさらにたくさんの「分かりたい」と思っている方々と議論し、知識を共有していきたいと願っています。(以下略)

言葉尻を捉えるようだが、私は「科学の信頼は揺ぐものではない」と考える。今回揺らいだのは東京電力、規制官庁、それに原子力を推進してきた人々や組織に対する信頼と、原発を造り運用する技術に対する信頼が揺らいだとするべきだ。原発は人々が科学を基にした技術で作ったものだが、科学そのものは信頼するとかしないとかの対象とはならない。地震のメカニズムなど科学ではまだ解明されていない自然現象もあるが、科学という学問の方法論について疑念を持つことはない。一般の人たちも科学そのものを信頼出来ないということではないはずだ。

原発事故を起こすような自然災害について科学的に未解明の部分が多いのにもかかわらず、原発は安全だと慢心し警戒を怠り、万一の備えをしなかった技術者、経営者、規制当局が一般国民から信頼を失ったのが今回の福島原発事故である。科学は真理を追求する学問であり、森羅万象をロジカルに説明しようとする。今回の事故に関してあえて言うならば、原子力という特定の技術を使う場合に、どのようにして技術者等が誤って原発事故を起こすようになったかを事実に基づいて調査することが大切である。

急速に進歩を遂げ巨大化、複雑化する科学技術に対して、それを使う側の人や組織がついていけない状況こそが現代の危機だと言える。

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